研究課題
本申請では,低酸素下がん細胞における放射線や抗がん剤によるDNA損傷応答機構における転写因子HIF-1およびその下流の転写抑制因子DECの意義解明をめざし,1)低酸素下でのDNA修復関連遺伝子発現制御機構の詳細を明らかにする。特に,HIF-1やDECの関与についての解明,2)様々な低酸素環境下口腔がんをはじめとする複数種のがん細胞株の放射線や各種抗がん剤感受性の変化とHIF-1-DEC経路の活性の比較,3)低酸素環境のDNA損傷応答への影響を,DNA損傷認識やアポトーシス誘導へのシグナルの変化に注目して比較,4) HIF機能レポーター実験系を構築に取り組んだ。口腔扁平上皮がん細胞HSC-2を用いた網羅的遺伝子発現解析により,24時間低酸素刺激により発現低下した22のDNA修復遺伝子のうち,BRCA1,RAD51,MBD4,MRE11A,MLH1,MSH2の低酸素下での転写調節機構を解析した。結果,HIF-1下流で働く転写因子DECはこれら遺伝子プロモーター活性を抑制した。さらに,低酸素前処理を行ったがん細胞の損傷応答および修復は,DEC2依存的に遅れた。一方,低酸素前処理を行ったがん細胞のガンマ線感受性は,siRNAによるDEC2抑制により増加し,低酸素前処理による放射線感受性低下機構にHIF-1-DECを介した機構が関与していることが示唆された。HIF-1-DECを介したDNA損傷・応答機構の詳細を明らかにし,放射線治療効果の増強のみならず,新しい防護法の開発への応用が期待された(論文準備中)。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
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