研究課題/領域番号 |
23592769
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
三宅 実 香川大学, 医学部, 准教授 (20239370)
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研究分担者 |
松井 義郎 香川大学, 医学部, 教授 (10181687)
岩崎 昭憲 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10437676)
山口 一郎 国立保健医療科学院, 生活環境部, 室長 (50311395)
欅田 尚樹 国立保健医療科学院, 生活環境部, 部長 (90178020)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | EPR / Dosimetry / 被ばく線量測定 / 歯エナメル質 |
研究概要 |
1.ボランティアから収集した抜去歯からの既存EPR信号の計測:74本の抜去歯から走査幅25gauss, 走査時間10 sec,時定数5msec, 変調幅4gaussの条件で測定を行った。平均 EPR信号強度 0.017014 a.u.(相対値)、SD 0.011049、中央値 0.015693の結果が得られた。また既存信号の分布は、対数正規分布に従うことを確認した。2.医療診断用のデンタルX線照射装置によるEPR信号発生:L-bandで計測可能な信号がどの程度デンタルX線照射装置で生成されるか実験を行った。60kV 10mA、X-ray tube D-081 filtration 2.2AL1回照射0.32sec.コーンの先端から試料まで10cm、10回照射では検出困難。30-50回照射で検出可能な信号の検出を確認した。3.既存の臼歯用の共振器改良:米国ダートマス大学と共同で、前歯部用に変更した。10ミリのループに変更は行わず、90度のアングルを付与し上顎前歯に適応できるように修正した。共振器回路の調整も行った。既存の被験者が横臥位で測定できる様式に変更した。頭部固定用非磁性体フレームの設計・作製、口唇挙上用装置の作製を行い座ったまま計測が可能となった。4.人からの計測:ボランティアから、実際に既存信号として、前歯部よりEPR信号計測を行った。27名の被験者より得られたデータは、信号強度0.0401±0.00716 a.u.(相対値)、EPR信号/PDT(標準信号比)0.1862±0.02947であった。 上述の研究結果から、既存信号(バックグランドEPR信号)に影響を及ぼす要素として医療被曝(主に歯科医療)の可能性が示唆され、その大きさおよび分布が明らかとなった。L-bandEPR線量測定装置を、被ばく事故発生時のトリアージとしての応用するための重要なデータとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、抜去歯を用いたex vivoの計測とEPR装置の改良を主体に予定していた。抜去歯からは、信号強度やばらつき・分布についての有用なデータが得られた。EPRコンソールのチューニングロッド、頭部固定装置の導入、口唇挙上リトラクターの設計加工、共振器external loopの改良が実施でき、計測に関して安定した環境が整った。さらに、実際に人からの計測も行うことができ、貴重なデータも得られ、研究は当初の計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.新規共振器の設計・作製:さらに検出感度・精度を上げるべく、新規の口腔前歯用の共振器を作製する。ループ計を従来の10mmから8mmに小径化することで、ループ接触部位での検出感度の向上を図る。2.計測時のS/Nを向上させるために、(1)頭部のより安定した固定、(2)電磁波ノイズの軽減 (3)磁場変調増幅器の改良 を実施する。3.ボランティアの前歯から可及的に多くのEPR信号計測を行う。ボランティアは、既存被ばくの有無を問わない。上記により、さらに生体被ばく線量装置としてのL-band EPRspectrometerの実用化を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究経費として備品・消耗品として1.共振器の作製2.被験者測定環境の改良頭部固定装置の改良3.口腔衛生用品計測にかかる消耗品4.データ解析のためのソフトウエア導入を予定している。また交通費として1.研究者の旅費として香川大学、北海道大学から埼玉県国立保健医療科学院への出向にかかる経費。2.研究成果の発表のための学会参加旅費を予定している。その他経費として1.出版物・印刷物および投稿料2.研究協力者(被験者)への謝礼・交通費が必要となる。
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