研究概要 |
1. 新規の口腔前歯用の共振器を開発した。最終年度では日本人前歯に合わせてさらに2種類の共振器(ループ内径4.0ミリおよび4.5ミリ)を作製した。共振器の形状を上顎中切歯歯冠面に合わせて湾曲を持たせさらに密着性の向上を図った。回路に関して①マイクロ波損失を減らすために大口径の平衡伝送線路を使用。②共振周波数を調整する回路を取り除き、低損失化。③共振器のインピーダンス整合(カップリング)を電子的に調整。を加え高感度化が実現できた。共振器筐体もジュラルミンで作製し、軽量化(227gから150g)が図れた。最終的にS/N比で、従来のループ型共振器の約2.0-2.7倍の改善が図れた。検出感度として1Gy照射標本での感度77.0%、特異性78.0%から感度95.0%、特異性90.0%まで向上させることができた。高線量被ばく時のトリアージ目的として十分な実用感度であると考える。 2. 本研究成果を、米国での国際学会(The 41st ISOTT and the International EPR Conference,June 22-28,NH,USA)で、3題発表を行い同専門領域の研究者と討論を行い同装置の有用性を確認した。 3. 現有の研究室に設置し測定に使われているClinical EPR Spectrometer(Clin. EPR社, Lyme, NH, USA)は、ヒト全身計測も対象としており、磁場発生に大型の装置(NEOMAX PermanentMagnet重量約1.3トン)が必要であった。しかし現在、人の口での計測に特化した小型磁石(約29kg)のEPR線量計が開発された。それにより、外部への運搬が可能となり現場での計測が実施できるので、計測機器としての実用性が飛躍的に上がる。今後今回開発された共振器を導入し、人での基礎データの採取を計画している。
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