研究課題
我々はこれまで、ヒト神経芽細胞腫であるSK-N-SH細胞を用い、「宇宙放射線と微小重力の哺乳類細胞への影響(NeuroRad)というテーマで宇宙実験を行った。この細胞は宇宙放射線を浴び、放射線抵抗性が高くなっている可能性が考えられ、放射線抵抗性獲得の有無、その機序を解明する。宇宙細胞では、明らかな細胞増殖速度の増大、活性酸素発生の増大および、ミトコンドリア局在MnSODの増大が認められた。コントロール細胞と宇宙細胞を用い、オートファジー関連遺伝子Bcl-2の発現についてはコントロール細胞に比べて宇宙細胞では明らかに発現は増大していたが、Beclin1の発現についてはほとんど差が見られなかった。またSurvivinの発現についても有為な差が認められなかった。次に、X線10Gy照射後の細胞において、アポトーシスには変化が認められず、オートファジーの減少が認められることが明らかとなった。これらの結果からMnSOD 活性とオートファジーとの関連性が浮かび上がってきた。従って、オートファジー関連遺伝子発現について検討した。MnSODを過剰発現した細胞に、X線10Gyを照射したときBcl-2の発現についてはコントロール細胞に比べて細胞では明らかに発現は増大していたが、Beclin1の発現は有意に減少していた。またSurvivinの発現は有意に増加していた。一方オートファジーはMnSODを過剰発現した細胞では10GY照射後、発現が低下していた。以上の結果から、宇宙細胞ではMnSODはSurvivinの発現を促進し、Beclin1の発現を抑制することで、オートファジーの発現を減少させていることが示唆された。またMnSODがアポトーシス抑制遺伝子であるBcl-2の発現を誘導し、それによってアポトーシスが抑制させているから、放射線抵抗性を獲得することが示唆された。
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J Clin Biochem Nurt.
巻: 56 ページ: 1-7
10.3164/jcbn.14-42
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