研究課題/領域番号 |
23592777
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
佐野 司 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40241038)
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研究分担者 |
高橋 哲 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60226850)
和光 衛 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (70211670)
音成 実佳 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30276604)
坂本 潤一郎 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (40506896)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 顎関節 / MRI / 関節液 / 疼痛 / 蛋白濃度 |
研究概要 |
本projectでは、MRIの反転回復撮影法であるFLAIR法により顎関節のjoint effusion(以下JE)の蛋白濃度の差を視覚化することを試み、その蛋白濃度と疼痛の関連を明らかにすることを目的とする。そして、顎関節症の疼痛の新たなMRI診断法を開発することを最終的な目的とする。平成23年度は以下の報告に基づき、FLAIR画像上のJEの信号強度による顎関節疼痛の診断の可能性を検討し、第53回日本歯科放射線学会学術大会で報告を予定している。【目的】FLAIR画像上のJEの信号強度と復位性、非復位性関節円板前方転位を有する患者の疼痛との関連を明らかにすること。【方法】対象は、顎関節症の診断下にMRIが施行された患者のうちLarheimらの分類に従い、T2強調画像上での関節液の量がmoderate fluid以上のものをJEとして対象とした。対象の内訳は27名29関節(男性4名4関節、女性23名25関節、平均39.3歳)で復位性円板転位が9関節、非復位性円板転位が20関節である。方法はT2強調画像、FLAIR画像の閉口時修正矢状断像上でJEと灰白質に関心領域を設定し信号強度を計測、灰白質の値でJEの信号強度を規格化し、FLAIR法による信号強度低下率を算出した。また、疼痛VASを用い評価を行った。信号強度低下率とVASの値の間で相関係数を求め両者の関係を検討した。【結果】非復位性円板転位症例では有意差が認められ(p<0.05)、負の相関(TE122ms-0.56、TE168ms -0.32)を示したが、復位性円板転位症例では有意差が認められなかった。【結論】非復位性円板転位症例のFLAIR法MR信号強度は疼痛の強さを反映している可能性があった。また、顎関節撮影時のモーションアーチファクト対応のためのBLADEシーケンスおよび頭頸部のFLAIR法の有用性についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は以下の報告に基づき、FLAIR画像上のJEの信号強度による顎関節疼痛の診断の可能性を検討したことから、上記区分とした。【目的】FLAIR画像上のJEの信号強度と復位性、非復位性関節円板前方転位を有する患者の疼痛との関連を明らかにすること。【方法】対象は、顎関節症の診断下にMRIが施行された患者のうちLarheimらの分類に従い、T2強調画像上での関節液の量がmoderate fluid以上のものをJEとして対象とした。対象の内訳は27名29関節(男性4名4関節、女性23名25関節、平均39.3歳)で復位性円板転位が9関節、非復位性円板転位が20関節である。方法はT2強調画像、FLAIR画像の閉口時修正矢状断像上でJEと灰白質に関心領域を設定し信号強度を計測、灰白質の値でJEの信号強度を規格化し、FLAIR法による信号強度低下率を算出した。また、疼痛VASを用い評価を行った。信号強度低下率とVASの値の間で相関係数を求め両者の関係を検討した。【結果】非復位性円板転位症例では有意差が認められ(p<0.05)、負の相関(TE122ms-0.56、TE168ms -0.32)を示したが、復位性円板転位症例では有意差が認められなかった。【結論】非復位性円板転位症例のFLAIR法MR信号強度は疼痛の強さを反映している可能性があった。
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今後の研究の推進方策 |
撮像パラメータの検討平成23年度と同様に問診により顎関節部に疼痛を持ち、なおかつ本研究に対しインフォームドコンセントを得られた患者約30名に対し、東京歯科大学千葉病院現有の1.5T-MR装置(Siemens Magnetom Symphony maestro class, Erlangen, Germany )を用い、顎関節撮像用コイルにてMRI撮像を行う。平成23年度に選択されたFLAIR法を使用してTR 、TE 、スライス厚、加算回数、matrix、撮像範囲の最適なパラメータを決定するために、種々の条件で撮像を試みる(佐野、音成)。得られた像に対し、最適な条件を抽出する(佐野、和光、音成、坂本、高橋)。
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次年度の研究費の使用計画 |
佐野司:FLAIR法を使用して最適なパラメータを決定するために、種々の条件で撮像を試みる.得られた像に対し、最適な条件を抽出する。(当該年度の直接経費の所要額:1,980,000円、請求額670,000円)高橋哲:得られた像に対し、最適な条件を抽出する。(当該年度の直接経費の所要額:100,000円、請求額100,000円)和光 衛:得られた像に対し、最適な条件を抽出する。(当該年度の直接経費の所要額:10,000円、請求額10,000円)。音成 実佳:FLAIR法を使用して最適なパラメータを決定するために、種々の条件で撮像を試みる。(当該年度の直接経費の所要額:100,000円、請求額100,000円)坂本 潤一郎:得られた像に対し、最適な条件を抽出する。(当該年度の直接経費の所要額:10,000円、請求額10,000円)
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