研究概要 |
唾液腺の分枝形態形成期および成長後の唾液分泌に関与する細胞を実験対象として,放射線の影響およびamifostineの効果を組織化学的,機能的に追究し,口腔領域の悪性腫瘍の治療に有用な基礎的資料を得ることを目的とする。当該年度は器官培養した胎仔の顎下腺原基にX線を照射し、原基の増加、分枝形成上皮数、PCRによりその影響を観察した。実験方法:(器官培養)C57BL/6NJclマウスの交配13日目の胎仔を摘出した。1匹の親マウスからの胎仔数は8~13であった。冷PBS中で胎仔を単離,顎下腺原基を分離し,無血清培地(DMEM)で数回洗浄,Cell culture insert systemを用いてDMEMで器官培養した。(X線照射)10分後、1 GyのX線(150kV, 20mA, 線量率 0.9Gy)を照射した。照射後直ちに非照射のDMEMで48時間培養した。(PCR)RNAを抽出し、c-DNAを合成した。プライマーをAquaporin 5、amylaseとした。そしてPlatium PCR supermix(#11306-016, Invitrogen)を用いてPCRを行った。結果:(顎下腺の面積)無照射、1Gy照射ともに経時的に増え, 培養開始48時間後で培養開始0時間後のそれぞれ4.5±1.7倍、3.6±0.8倍であった。なお無照射群と照射群の各時間における有意差はなかった。(分枝形態上皮数)無照射は培養0, 6, 12, 24, 48時間後経時的に増加し、照射群は12, 24, 48時間後で同程度の値を取り、無照射48時間後は0時間後の7.0±1.5倍、1Gy照射では2.7±1.7倍であり無照射と比較し有意に低値を示した。(PCR)Aquaporin 5は無照射、照射で同程度のバンド濃度であった。amylaseは無照射群でのみ出現した。
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