研究課題/領域番号 |
23592783
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
羽山 和秀 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (60120713)
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キーワード | 分子イメージング / 腫瘍画像化 / シリカナノ粒子 / 近赤外蛍光 / 核医学 / モノクローナル抗体 / 腫瘍特異抗体 |
研究概要 |
深部イメージングが有利なRIと身体浅部に限られるが解剖学的形態とともに詳細なイメージングが可能な近赤外蛍光を付与したナノ粒子を使用して異なる画像様式を複合した分子イメージングの臨床への導入の可能性を検討している。ナノ粒子としてはシリカナノ粒子に多機能性を付与するためポリマー(PAMAM)を付与した。 Tc-99mと近赤外蛍光を複合ラベリングしたナノ粒子キャリアへの腫瘍特異抗体結合を実現するために、まず、核医学と近赤外蛍光のシリカナノ粒子複合イメージンを行うこととした。そこで、センチネルリンパ節の術中可視化の可能性を基礎実験と動物実験で明らかにした。さらに、腫瘍特異抗体としてヒト癌遺伝子HER2/neu(c-erbB-2)の遺伝子産物であるHER2蛋白に特異的に結合する抗体(HER2/ErbB2)を選択して結合させ、HER2との反応で発生する近赤外蛍光を測定して抗体標識を検証した。これによりTc-99mと近赤外蛍光を複合ラベリングしたナノ粒子キャリアへの腫瘍特異抗体結合が確認された。 複合イメージングナノ粒子による細胞レベルでの画像化の実現するために、抗体(HER2/ErbB2)と結合させたシリカナノ粒子をヒト乳癌細胞SK-BR-3に添加して光学顕微鏡にてHER2との反応で発生する蛍光を測定して細胞表面に局在することが証明された。さらに、電子顕微鏡にてシリカナノ粒子も細胞表面に局在することが証明された。現在、さらに複合イメージングナノ粒子による細胞レベルでの画像化について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
その理由は以下のようである。 本年度の計画は1) Tc-99mと近赤外蛍光を複合ラベリングしたナノ粒子キャリアへの腫瘍特異抗体結合、2)複合イメージングナノ粒子による細胞レベルでの画像化の実現である。 このうち、1)は基礎実験と動物実験で検証されたTc-99mと近赤外蛍光とで複合ラベリングされたナノ粒子キャリアに抗体(HER2/ErbB2)を結合させてHER2との反応で発生する近赤外蛍光を測定して抗体標識を検証することで達成されている。 また、2)は抗体(HER2/ErbB2)と結合させたシリカナノ粒子をヒト乳癌細胞SK-BR-3に添加して光学顕微鏡にてHER2との反応で発生する蛍光を測定して細胞表面に局在することを、さらに、電子顕微鏡にてシリカナノ粒子も細胞表面に局在することを証明している。このように本年度の計画はほぼ達成されている。 以上のことからおおむね順調に進展していると判定する。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍特異抗体を結合させた複合イメージンシリカナノ粒子を用いて細胞レベルでのイメージングの検討をするためにTc-99mと蛍光とで複合ラベリングされたナノ粒子キャリアに抗体(HER2/ErbB2)を結合させてヒト乳癌細胞SK-BR-3に添加してマイクロプレートリーダによる蛍光量の測定、および倒立顕微鏡によるイメージング細胞の蛍光観察、オートラジオグラフィ、オートウェルガンマシステムによるRI集積の定量測定を行う。 さらに、腫瘍特異抗体を結合させた複合イメージングナノ粒子による動物移植腫瘍の画像化について検討するためにヒト乳癌細胞SK-BR-3株を移植したヌードマウスに上記の複合イメージングシリカナノ粒子を投与して腫瘍細胞のRI集積を小型半導体ガンマカメラにて検出及び定量化する。また、摘出腫瘍オートラジオグラフィによる腫瘍細胞標識RIの局在の検証を行うとともに蛍光イメージングを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
腫瘍特異抗体を結合させた複合イメージンシリカナノ粒子を用いて細胞レベルでのイメージングの検討で用いるマイクロプレートリーダ、倒立顕微鏡、オートラジオグラフィ装置とオートウェルガンマシステム及び複合イメージングシリカナノ粒子による動物移植腫瘍の画像化に用いる高性能の小型半導体ガンマカメラ、オートラジオグラフィ装置、蛍光のイメージング装置は日本歯科大学新潟生命歯学部歯科放射線学研究室および先端研究センターRI施設に現有している。次年度の研究費は各測定等で使用する消耗品を購入し、結果発表のための旅費として使用していく予定である。
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