研究課題/領域番号 |
23592784
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
柴田 達也 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90323708)
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研究分担者 |
島田 明美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00339813)
中島 和久 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (90252692)
杉本 昌弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30458963)
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 唾液メタボローム |
研究概要 |
1.健常マウスの唾液に現れる代謝産物プロファイル:健常なメスのBALB/Cマウスに唾液の流出を促進するピロカルピンを投与し、投与後の経過時間と唾液中の代謝産物の関係を検討した。ピロカルピン投与直後に採取した唾液よりも、時間が経過してから採取した唾液の代謝産物のほうが測定値のばらつきが小さいことがわかった。2.唾液、唾液腺、血液に現れる代謝産物プロファイル:唾液に現れる代謝産物が血液や唾液腺にも存在するかどうかを明らかにするために、唾液採取と同時に採血し、その後大唾液腺の顎下線を摘出し、代謝プロファイルの解析を行った。唾液に現れる代謝産物は血液や唾液腺でも検出され、唾液、唾液腺、血液に現れる代謝産物の存在比率はマウス間でのばらつきが小さいことが分かった。3.安定同位体(13C)標識グルコースの追跡:ピロカルピン投与直前に13C標識グルコースを投与しておきピロカルピン投与後ただちに唾液と血液を採取し、さらに唾液腺を摘出した。唾液、唾液腺、血液のすべてに現れる13Cをとりこんだ代謝産物が確認された。4.担癌マウスの唾液に現れる代謝プロファイル:BALB/Cマウスに由来する乳癌細胞株4T1.2細胞を同系統のマウスの乳腺周囲皮下組織に移植すると移植後約7日後には腫瘍が形成され、移植後12日目に唾液、唾液腺、血液、癌組織を採取した。対照として乳腺上皮細胞株MM3MG細胞を移植した群、細胞を移植しない群を設定し、同様に唾液、唾液腺、血液、乳腺を採取した。現在これらのサンプルの代謝産物の解析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に計画した健常マウスの唾液に現れる代謝プロファイルの解析については、唾液採取条件の決定と唾液、唾液腺、血液に現れる代謝プロファイル解析を行い、ほぼ計画を達成できた。さらに平成24年度に計画していた担癌マウスを使った実験と安定同位体標識グルコースの追跡実験にも着手したので、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
担癌マウスの唾液の代謝プロファイルと健常マウスの代謝プロファイルを比較して相違点を明らかにする。現在唾液を採取しているのは癌をはっきりと触知できる時点であるが、癌細胞を移植してから癌を触知する前のどの時点で唾液の代謝プロファイルにちがいが現れるかを検討する予定である。4T1.2細胞は転移巣を形成する性質があるので、さらに長期の経過を追跡し転移巣形成時の唾液の代謝プロファイルを解析する予定である。また癌組織に現れている代謝産物が唾液中にも現れるかどうかを調べるために安定同位体を担癌マウスに投与して追跡実験を行う。(次年度使用予定の研究費が生じた状況)唾液・血液・唾液腺の代謝産物のプロファイルを安定して測定できるサンプルの採取方法が決定できるまで繰り返し実験を行う必要があると予想していたが、少ない実験回数で採取方法を決めることができ、試算していたよりも少ない動物数や試薬量の使用にとどまったため。
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次年度の研究費の使用計画 |
癌の触知前あるいは癌の転移後の唾液の代謝プロファイルの解析は元来の研究計画にはなかったものであり、これらの遂行のために使用する予定である。
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