研究概要 |
炎症の発症機序において、T細胞などの免疫担当細胞は、重要な役割を担っている。ケモカインやサイトカインなどにより活性化したインテグリンなどの接着分子の影響により血管から遊走し、炎症組織への浸潤が進む。慢性炎症局所では、免疫細胞が発現するRANKL, IL-1やTNF-αなどにより破骨細胞の分化が促進され、骨破壊を伴う炎症病態に進行する。そのため、T細胞の活性化機序の解明が不可欠である。慢性歯周炎症組織に発現が見られる炎症性サイトカインCXCL12(SDF-α1)刺激によるT細胞の慢性歯周炎症組織浸潤機序についての解明を進めるために、本年度は以下の実験を行った。 プラズミドpcDNA6.2-GW/EmGFP-miR Signal Transducers and Activator of Transcription (STAT)1,2,3を作製し、Jurkat細胞にリポフェクタミンを用いて遺伝子導入を行った。FACSで遺伝子発現効率を確認し、さらに、ウエスタンブロット法を用いてSTAT1,2,3のタンパク質発現も確認した。抗生剤により、STAT1,2,3 knock down細胞を作製し、各々のクローンを3種類作成した。 作成したSTAT1,2,3 knock down細胞にCXCL12刺激を行い、タンパク質分離泳動装置とパワーサプライを用いて、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の産生を検討した結果、MMP-1産生の減少傾向が認められた。しかしながら、他のMMPについては、その影響をほとんど認めなかった。
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