研究概要 |
本研究では、慢性歯周炎症組織に発現が見られる炎症性ケモカインCXCL12(SDF-α1)刺激によるT細胞の慢性歯周炎症組織浸潤機序についての解明を進め、特にその機序におけるSTATとの関係についての解明をするために実験を行った。 T細胞においてCXCL12刺激し、細胞を可溶化しリン酸化抗体を用いウエスタンブロッテイングを行った。STAT2のリン酸化は認められた。さらに、シ密度勾配遠心分離法にてSTAT2の核内への移行を確認した。次にSTATノックダウンT細胞のCXCL12刺激による細胞内タンパク質のチロシンリン酸化を検討するために、STATノックダウンT細胞をCXCL12刺激し、細胞を可溶化しリン酸化抗体を用いウエスタンブロッテイングを行った。STATノックダウンT細胞とwild typeの細胞と比較してCXCL12刺激ではリン酸化に影響が認められた。次にリン酸化が変化しているタンパク質を同定するために、CXCL12刺激後に得られた可溶性タンパク質を抗リン酸化抗体で免疫沈降し、タンパク質の同定を行っている。現在、guanine nucleotide exchange factor, serine/threonine-protein kinases, nuclear factor kappa-light-chain-enhancer of activated B cells, extracellular signal-regulated kinaseなどのタンパク質との影響は認めなかった。共焦点レーザー顕微鏡にてSTATの局在を観察した。CXCL12刺激によりSTATの局在は、核の移動などが起こる可能性が示唆された。
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