研究課題/領域番号 |
23592790
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松田 康裕 北海道大学, 大学病院, 助教 (50431317)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子多型 / 齲蝕 / PCR高解像度融解曲線分析 |
研究概要 |
これまでにサンプリングされていた唾液からのDNA抽出を試みたが、凍結保存されていたことも有り回収量はきわめて少ないことが明らかとなった。Buccal Swab を用いたDNAの採取は対象者にとっても負担が少ないことから、この方法を用いたDNA採取方法の改善を試みた。DNA抽出時に超音波振動と、長時間のインキュベートを応用することによって100ng/ml以上のDNAの採取が認められた。齲蝕関連唾液タンパクのうちの一つであるDefensin beta 1 (DEFB1)は3個のSNP(rs11362 (G-20A), rs1800972 (C-44G), and rs1799946 (G-52A))の組み合わせによるハプロタイプによって齲蝕のリスクが変わる事が既に報告されており,SNP’sの位置も約数十bp内に存在しているため、ヒトゲノムのHRMAを用いた解析方法の確立に適している。HRMAではリファレンス配列と同一か否かを検証する方法であるため、既知の配列との配列のミスマッチが多いほど容易に解析が可能である。したがって、まずDEFB1のハプロタイプをHRMAで解析するためのプライマーをデザインし、ライトサイクラーナノを用いてパイロットスタディを行った。プライマーの条件は(1)3個のSNP’s(rs11362、rs1800972、rs179946)がPCR産物の中に収まる、(2)ハウスキーピングジーンのプライマーを同一ウェルに入れたマルチプレックスPCRを行うため、それらのプライマーと相互作用が無いこと、(3)それぞれのPCR生成物のTmピーク値が異なるピークとなるもの、である。これらの条件を満たすようにデザインる、いくつかのプライマーを設計した。これらのプライマーをライトサイクラーNanoによる解析によって論理的Tmとほぼ同様のTmのPCR産物を生成する検証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)これまでにサンプリングされていた唾液からのDNA抽出を試みたが、凍結保存されていたことも有り回収量はきわめて少ないことが明らかとなったため、新たにDNAを採取を行う必要がでてきたため。2)High Resolution Melting Curve Anlysisを用いた遺伝子多型のDNAの解析方法をより確実に確立するため、ターゲット遺伝子をSNP'sのポジションが明らかとなっているbeta defensin 1 (DEFB1)にし解析方法の確立を行っている。これらの理由により研究の進展状況は予定よりやや遅れいている。しかしながら、リアルタイムPCRを購入したことにより、予備実験は予定より効率的に行われている。
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今後の研究の推進方策 |
サンプリングと23年度の予備実験を元にbeta defensin 1 (DEFB1)の最終的な遺伝子解析方法の確立と、その方法を用いた遺伝子解析を行う。SNPの検出に適したプライマーの組み合わせを選択する。いくつかのサンプルで再現性が確かめられた後、いくつかのサンプルをピックアップしてDNAシークエンスでHRMAの分析結果の裏付けを行う。分析方法の開発と平行して、インフォームドコンセントを得られる対象者の口腔内サンプル化のDNA抽出を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
サンプリングのためのBuccal Swab およびDNA抽出のための試薬、PCRのためのプライマー、そして試薬など消耗品の購入をおこなう。再度サンプリングを行うため、対象者に対する謝金も計画しており、また国際学会における研究成果の発表を行うための経費も計画されている。HRMAによるSNP'sの解析方法の確立が遅れているため、未使用額生じた。平成24年度において予定通り試薬の購入に充てる予定である。
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