研究課題/領域番号 |
23592796
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 洋子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招へい教員 (60448107)
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研究分担者 |
岩見 行晃 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90303982)
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キーワード | PIGE / フッ素定量測定法 / う蝕 / フッ素徐放性歯科材料 / 歯質 |
研究概要 |
申請者らは、近年、核反応を用いた歯質内のフッ素定量測定法を新しく開発、改良して、新たな歯質内のフッ素定量測定法を確立してきた。本研究はこの確立した測定法を用いて、フッ素のより有効な歯科臨床への定量的な解析と応用、それに基づいた新たなフッ素徐放性歯科材料の開発を目的とする。 フッ素徐放性歯科材料から歯質にフッ素が浸透することは、程度の差はあるがいずれの材料にも認められ、時間経過によってより深く浸透するが、フッ素の含有量、溶出量の多いものが必ずしも深く浸透するわけでもなく、またう蝕進行に伴いう蝕歯質内のフッ素濃度が高まるが、それらのフッ素がどこ由来のものかなどの詳細は明らかでない。本測定法で健全歯質およびう蝕歯質でのフッ素濃度やフッ素の経時的変化の測定が可能となったことにより、人工う蝕装置を併用し、う蝕進行に伴うフッ素の動態を現在検討中である。 う蝕予防の観点から、日常生活でもフッ化物含有歯磨剤の使用やフッ化物洗口が推奨されており、それらの効果を検討した結果、フッ化物含有歯磨剤やフッ化物洗口併用によるう蝕抑制効果は有効と評価できたが、併用してもう蝕抑制効果が有意に増加しなかった。したがって、小中学生を対象にフッ化物洗口を学校で実施することが推奨されているが、フッ化物含有歯磨剤の使用法や回数などを考慮して実施を検討すべきと考えられる。 また、一度歯質に取り込まれたフッ素はう蝕になって溶出しても再び利用されることが確認されたが、再石灰化に伴い歯質に取り込まれるフッ素が、それらの歯に浸透しているフッ素、材料からのフッ素、周囲に存在するフッ素からどのように影響をうけているかの検討が必要であり、測定試料作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年2月に日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所(TIARA)での測定が機械の故障で延期になったものの、4月にマシンタイムが獲得され、25年度の測定に繰り越してもらえたことにより、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
若狭湾エネルギー研究センターおよびTIARAでのマシンタイムも前期分はすでに確定しており、測定も実施されるので、当初の研究計画に変更はない。試料作製も引き続き行われ、測定日に対応して準備されている。 24年度の成果は、すでに国際学会などで発表しており、投稿論文作成中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
若狭湾エネルギー研究センターの測定も続行され、予定通りの研究を実施するため旅費および試料作製費などを計上する。日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所(TIARA)の測定も予定通り並行して行う予定であり、試料作製のための材料や器具が必要である。本研究における測定は大学ではできないので、特に若狭湾エネルギー研究センターへの旅費計上は不可欠である。情報収集、成果発表のための歯科保存学会、理工学会、国際学会への出席の旅費を計上している。
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