研究概要 |
本研究は,抗炎症能あるいは組織誘導能が知られている薬剤,生体分子,多血小板血漿(Platelet Rich Plasma; PRP)が各種細胞に与える影響を検討し,歯髄・根尖歯周組織に薬剤・生体分子,PRPを組み合わせて応用することを目的としている.これまでに私達は,歯髄創傷治癒における歯髄アポトーシスと修復象牙質形成の相互作用,及びFibroblast Growth Factor-2(FGF-2)徐放による象牙質欠損部への新生象牙質形成誘導や象牙芽細胞様歯髄細胞株の樹立等,歯髄再生に必須の研究成果を挙げてきた.本研究では,新規開発セメントの象牙芽細胞様細胞,骨芽細胞様細胞への影響,ステロイドコアクチベーターMTI-IIの骨芽細胞様細胞への影響,PRP,Bone Morphogenetic Protein-2(BMP-2)の象牙芽細胞様細胞への影響,アメロブラスチンの上皮細胞への影響について検討した.その結果,BMP-2は象牙芽細胞様細胞の分化に影響を与えること,FGF-2は象牙芽細胞様細胞の細胞突起伸長を誘導すること(Kitamura et al., Polymers, 2011; Washio et al., Int J Dent, 2012; Jimi et al., Int J Dent, 2012).新規開発セメントは象牙芽細胞様細胞,骨芽細胞様細胞に親和性を有すること(Washio et al.,J Biomed Mater Res B, 2014 accept),アメロブラスチンは上皮増殖を抑制すること(現在投稿中),MTI-IIは骨芽細胞様細胞の炎症応答を抑制すること,精製したPRPが象牙芽細胞様細胞の分化関連遺伝子の発現を誘導することを明らかにした.今後はそれぞれの分化誘導因子,炎症抑制因子の誘導・抑制における機能解析を実施する予定である.
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