研究課題/領域番号 |
23592813
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
平山 聡司 日本大学, 歯学部, 准教授 (70189869)
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研究分担者 |
谷本 安浩 日本大学, 歯学部, 准教授 (40312045)
宇都宮 忠彦 日本大学, 歯学部, 准教授 (50297850)
松島 潔 日本大学, 歯学部, 教授 (00157306)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自己硬化型リン酸カルシウムセメント / TTCP / DCPA / 4-META/MMAレジン / 再石灰化 / 象牙質接着性 |
研究概要 |
TTCP/DCPA配合4-META/MMAレジン試料の作製:4-META/MMAレジンはスーパーボンドC&B(サンメディカル)を使用し、そのPMMA粉末(クリアー)にTTCP/DCPAを等モル比混和した自己硬化型リン酸カルシウムセメント(CPC)を重量比で10、20、30、50および60%添加したものを粉末試料とした。この粉末0.08gをスーパーボンド付属のモノマー液110μlにキャタリストを1滴した活性液に練和させて以下の実験試料を作製した。 1.硬化時間(DSCによる最大発熱ピーク時間)の測定結果:(1)CPC添加量増加に伴い、硬化時間は遅くなる傾向が認められた。(2)10%~20%添加試料ではコントロールと比較して1分程度の遅延であったが、50%以上の添加量になると硬化時間はコントロール(6分)に比較して2倍(12分)に延長した。2.接着強さの測定結果:(1)CPC20%添加までは接着強さはコントロールと比較して有意差は認められなかった。(2)CPC30%~60%の添加ではコントロールに比較して接着強さは低下する傾向が認められたが、30%~60%添加試料間に有意差は無かった。(3)10%~60%のCPC添加量では初期(生食水浸漬1日)接着強さと1ヶ月生食水浸漬後の接着強さに有意差はなかった。 3.物性試験(3点曲げ強度):コントロールと比較して10~20%添加試料では著しい強度低下は認められなかった。(2)添加が50%以上の試料になると脆性特性が顕著になる傾向が認められた。(3)全てのCPC添加試料では、初期浸漬群と1ヵ月浸漬群の曲げ強さに有意差は認められなかった。 以上の結果から、4-META/MMAレジンにCPCを50%以下の添加量であれば、4-META/MMAレジンの材料学的物性を大きく低下させないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献に基づいて実験試料であるTTCP/DCPAからなる自己効果型リン酸カルシウムセメント(CPC)の作製を行ったが、TTCPの焼成やその粉砕に伴う粒径調整に時間を費やしてしまった。また、市販されているCPCの購入も日本国内では難しく、実験試料の恒常的な確保が確立しなかったことが研究遂行の面での遅れに繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果を基にして、以下の研究を遂行する。(1)TTCP/DCPAとPMMA粉末の配合を変えた各種4-META/MMAレジンの硬化後の経時的なハイドロキシアパタイトへの転換率を算出し、細胞や動物実験に使用する実験試料の再石灰化に及ぼす影響を検討する。(2)TTCP/DCPAとPMMA粉末の配合を変えた4-META/MMAレジンについてヒト歯髄培養細胞や骨芽細胞に対する石灰化物形成能を細胞増殖能、アルカリホスファターゼ(ALP)活性、オステオカルシン産生量の測定および石灰化ノジュールの形成評価を通して検索し、最適なTTCP/DCPA配合量を検討する。(3)細胞実験でのデーターに基づいて、実験動物(ラット)の露髄面、髄床底部穿孔部や根充用シーラーとして使用した場合の封鎖性や再石灰化そして硬組織形成の観察を病理組織学的に評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)23年度に遂行できなかったTTCP/DCPAとPMMA粉末の配合を変えた各種4-META/MMAレジンのハイドロキシアパタイト転化率について検討する。2)TTCP/DCPAとPMMA粉末の配合を変えた4-META/MMAレジンについてヒト歯髄培養細胞や骨芽細胞に対する石灰化物形成能を細胞増殖能、アルカリホスファターゼ(ALP)活性、オステオカルシン産生量の測定および石灰化ノジュールの形成評価を通して検索し、最適なTTCP/DCPA配合量を検討する。
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