研究課題/領域番号 |
23592813
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
平山 聡司 日本大学, 歯学部, 准教授 (70189869)
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研究分担者 |
谷本 安浩 日本大学, 歯学部, 准教授 (40312045)
宇都宮 忠彦 日本大学, 歯学部, 准教授 (50297850)
松島 潔 日本大学, 歯学部, 教授 (00157306)
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キーワード | 自己硬化型リン酸カルシウムセメント / 4-META/MMAレジン / 象牙質接着性 / 再石灰化 |
研究概要 |
TTCP/DCPA(CPC)配合4-META/MMAレジン試料は、PMMAレジン(スーパーボンド粉末、以下SB)粉材に対するCPC含有量を0wt%(コントロール)、10wt%、20wt%、30wt%、50wt%、60wt%、90wt%、100wt%に調整した。試験項目とその結果は以下の通りである。 ① ウシ抜去象牙質に対する接着試験(生理食塩水浸漬時間:24時間、1週間、1か月):CPC20wt%試料までは水中浸漬時間に関わらずコントロール試料に比べ接着強さの有意な低下が認められなかった。また、CPC30wt%~60wt%試料間での接着強さは同等レベルであった。 ②3点曲げ試験(生理食塩水浸漬時間:24時間、1週間、1か月):CPC10wt%~50wt%およびコントロール試料において、曲げ強度の大きな低下は認められなかったがCPC50wt%試料ではコントローと比較して約20%強度の低下が認められた。また、同一試料内においては、水中浸漬期間延長による曲げ強度の低下は認められなかった。CPC含有試料では、曲げ試験後全ての試験体で破断した。 ③ SEM観察(生理食塩水浸漬時間:24時間、1週間、1か月):CPC10wt%~90wt%およびコントロール試料において、CPC60wt%試料まではコントロール試料の接合界面と比較して同様なレジンタグおよび樹脂含浸層の形成が認められた。CPC含有量が高い試料ほどセメント体部にボイド形成が認められた。これは、SEM試料作製過程でHCl処理によるCPCの溶解によるものと考えられる。CPC90wt%試料では1週間浸漬で表面に針状結晶化物が認められた。形状観察から析出したハイドロキシアパタイト様リン酸カルシウムであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
主たる実験材料であるリン酸カルシウムセメント(CPC)の安定的な作製・供給が難しく、その入手に手間取っている。また、接着実験において試料間でデーターにばらつきが大きくなる原因として、TTCPの粒径調整が上手くいっていないと思われる。しかし、昨年CPCを主原料とする象牙質知覚過敏用材が市販され、このCPC粉末が本研究に供試可能であるかを検証したため、再度物性実験を行う必要があったため、達成度に大きな後れを取ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
1)CPCとPMMA粉末の配合量を変えた含4-META/MMAレジン硬化体の経時的なハイドロキシアパタイトへの転化率を測定する。 2)上記実験試料について、ヒト歯髄培養細胞に対する石灰化形成能を細胞増殖能、アルカリフォスファターゼ活性、オステオカルシン産生量の測定および石灰化ノジュールの形成評価を通して石灰化誘導能の確認を行う。 3)材料学的検討と細胞実験のデーターからCPCとPMMA粉末の最適な配合比を決定し、これを根管充填用シーラーとして使用した場合の根尖漏洩性試験や根尖部の石灰化について実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度となる平成25年度は、以下の項目に対して研究費を使用する。 1)CPCとPMMA粉末の配合量を変えた含4-META/MMAレジン硬化体の経時的なハイドロキシアパタイトへの転化率を測定のため、実験の主材料であるCPCの購入など実験試料作製に充てる。 2)ヒト歯髄培養細胞に対する石灰化形成能を細胞増殖能、アルカリフォスファターゼ活性、オステオカルシン産生量の測定および石灰化ノジュールの形成評価を通して石灰化誘導能の確認を行うため、細胞培養に必要な培地、試薬および実験器材の購入に充てる。 3)CPCとPMMA粉末の最適な配合比を決定し、これを根管充填用シーラーとして使用した場合の根尖漏洩性試験や根尖部の石灰化について実験を行うため、実験動物の購入や飼料、病理組織切片作製に充てる。 4)研究協力企業との共同研究の旅費交通費および学会発表の参加費や論文作成の校閲費用に充てる。
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