研究課題
本研究においては,Academic Center for Dentistry (ACTA)で開発されたAmsterdam Active Attachment momdel (Caries Res 2010; 44: 372 - 379)を用い,ガラス上で培養した短期および長期ポリマイクロバイアル(PM)バイオフィルムに渋柿からの抽出物を原料として用いた食品添加剤(Pancil PS-M:リリース科学工業株式会社)が与える影響を検討した.【材料および方法】PMバイオフィルム形成用材料には直径12 mmの円盤状ガラス試片を用いた.処理剤には,Pancil PS-MおよびCorsodyl(0.2 vol% グルコン酸クロルヘキシジン: GlaxoSmithKline)および,同製品を滅菌脱イオン水により希釈した溶液を用いた.実験群は,① 非処理群(陰性対照,cont),② 0.5 vol% Pancil PS-M群(0.5P),③ 0.7 vol% 同群(0.7P),④ 1.0 vol% 同群(1P),⑤ 2.0 vol% 同群(2P),⑥ 3.0 vol% 同群(3P),⑦ 4.0 vol% 同群(4P),⑧ 0.05%グルコン酸クロルヘキシジン(陽性対照,0.05C),そして⑨ 0.2%グルコン酸クロルヘキシジン(陽性対照,0.2C)の9群とした(n=6).PMバイオフィルムの培養には,1被験者から採取した刺激唾液を用い,培養液にbuffered McBain 2005(0.2%スクロース,50 mM PIPES)を用い,嫌気培養を24および72時間行なった.培養終了時点で各処理を5分間行い,生菌数の算定を行い,各群の抗菌効果を比較検討した.【結 果】PMバイオフィルムに薬液処理を行った結果,培養期間に関わらず,すべての処理群における生菌数はcontと比較し有意に低く,Pancil PS-Mの抗菌効果は,濃度依存的に高くなる傾向が認められた.4Pは, 0.2Cと同等の抗菌効果を示した. 【結 論】本抗菌剤が口腔感染症に優れた効果を有する可能性が示唆された.
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日本歯科保存学会誌
巻: ,56(1) ページ: 17 - 24