研究課題/領域番号 |
23592818
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
中田 和彦 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70261013)
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研究分担者 |
中村 洋 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40064878)
尾関 伸明 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70469005)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ポリリン酸 / 医療用材料 / 歯髄細胞 / 象牙芽細胞 / MMP |
研究概要 |
(1)歯髄細胞の分離と培養 臨床的に健全な新鮮抜去歯の歯髄組織を培養して得られた細胞をヒト歯髄細胞として使用する予定であったが、患者からの試料(抜去歯)の提供が充分に得られなかったため、ラット歯髄細胞(RDP 細胞)を用いて研究を遂行した。動物実験指針に従って得られたラットの新鮮抜去歯から歯髄組織を摘出し、抗生剤を含むダルベッコMEM 培地でよく洗浄した後、小組織片に細切しセルカルチャーディッシュ中に静置して、10%FBS 含有培地を加え、37℃、5%CO2下で培養した。そして、組織片より遊出した細胞がコンフルエントな状態になった後、継代培養して凍結保存しておいたものを本実験に使用した。(2)ポリリン酸添加実験および細胞増殖に対するポリリン酸の影響 食品添加物などで一般に広く利用されているポリリン酸(ポリリン酸ナトリウム)は、リン酸残基が三~十数個重合した比較的分子量の小さなものが主で、線維芽細胞においては顕著な促進効果はみられないと報告されている。そこで、まず歯髄細胞についてその点を確認するため、トリポリリン酸とテトラポリリン酸の1:1混合品(関東化学)を用いて以下の実験を行った。RDP 細胞の浮遊液を調製し、ポリリン酸が所定濃度(0, 1.25, 2.5, 5, 10 mM)になるように調製した培地と混合した試料をカルチャーデイッシュに一定量ずつ分注した後、5日間培養を行ってポリリン酸をRDP 細胞に作用させ、その増殖に対する影響について検索した。その結果、1.25 mMのポリリン酸の場合、細胞増殖の促進が認められたのに対して、2.5 mMではコンフルエントまで到達せず、細長い紡錘形に形態変化がみられ、細胞増殖の抑制が認められた。またポリリン酸が高濃度(5, 10 mM)の場合、細胞の定着と増殖はまったく認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで細胞の位相差観察に使用していた倒立型顕微鏡が故障したため、研究はやや遅れている状況である。メーカーよりとりあえず代品を借用してようやく研究を再開できる目途が立ったので、至急、研究の遅れを取り戻すため、各種のポリリン酸(リン酸ナトリウムガラス・タイプ45(シグマ・アルドリッチ)、ポリリン酸ナトリウム(和光純薬)、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム(太平化学産業)など)を使用して、歯髄細胞の増殖活性に対する影響を比較検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
医療用材料に最も適したポリリン酸を決定するため、前年度に引き続き、さまざまな市販のポリリン酸を使用してその改良品を調製し、それらの歯髄細胞の増殖活性に対する影響を比較検討する。生細胞のミトコンドリアの脱水素酵素による、テトラゾリウム塩WST-1の切断に基づく、細胞増殖と生存能を定量化するための染色キット(細胞増殖試薬WST-1、ロシェ・ダイアグノスティックス)を用いて、細胞増殖の測定を行う。その後アルカリフォスファターゼ(ALPase)活性に対するポリリン酸の影響を検索する。TRACP&ALP アッセイキット(タカラ)を用いて、歯髄細胞のALPase活性を測定する。ポリリン酸を作用させて所定時間培養後、培養液を吸引除去して、生理食塩水で1回洗浄後、細胞抽出用溶液(1% NP-40 含有生理食塩水)を加えて細胞を可溶化する。p-ニトロフェニルリン酸を含む緩衝液を加え、37℃で15~60分間加温し反応する。0.5N水酸化ナトリウム液を加えた後、マイクロプレート・リーダーを用いて、波長405nmにおける各溶液の吸光度を測定する。次いで最近、歯髄炎においてマトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)が血管新生や創傷治癒を促進することが注目されていることから、歯髄細胞のMMPs活性に対するポリリン酸の影響について、ELISA/EIAキットを用いて測定する。所定培養時間終了後、培養液を回収して、遠心分離後その上清を試料とする。試料と酵素標識抗MMPs抗体を反応させた後、反応液を異なるエピトープを持つ抗MMPs抗体が結合されたマイクロプレートウェルへ移し、所定時間反応させる。反応停止後、マイクロプレート・リーダーを用いて吸光度を測定する。またMMPsの特異的インヒビターであるTIMPsについても、ELISA/EIAキットを用いて、培養上清中のTIMPs量を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
MMPsおよびTIMPs測定用のELISA/EIAキットなど、研究用試薬、ならびに各種の実験用器具などを購入する。また故障した倒立型顕微鏡については、メーカーによる修理が不能のため(耐用年数8年以上を経過し、部品の供給ができない)、至急、新型の購入手続きを行い、近日中に納入予定である(見積価格:\516,443)。そして得られたデータを解析するために、小型のパーソナルコンピュータを購入する予定である(見積価格:\131,000)。さらに、疼痛制御物質としてのポリリン酸の可能性について資料収集などを行うため、第14回国際疼痛学会にも参加する予定である(開催地:イタリア、学会期間:2012年8月27日~8月31日(5日間)、旅費見積価格:\192,200、学会参加費:550.00ユーロ)。
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