研究課題/領域番号 |
23592819
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
吉川 一志 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (30309182)
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研究分担者 |
粟津 邦男 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30324817)
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キーワード | う蝕 / 選択的除去 |
研究概要 |
我々は第1級アミノ基を有する化合物(レーザー高吸収体)を配合するとEr:YAGレーザーの吸収率が向上することに着目し,今回,レーザー高吸収体を配合したう蝕検知液を試作し,Er:YAGレーザーに対する染色した人工う蝕象牙質に対する除去効率を測定し,レーザー高吸収体配合う蝕検知液による選択的う蝕除去法を検討したので報告する. ウシ歯象牙質を0.1M乳酸に24時間浸漬し,人工う蝕象牙質を作製した.各濃度の無色と緑色のう蝕検知液を滴下し,Er:YAGレーザーを照射し,形成された窩洞を3次元形状測定装置にて測定し,深さ,除去体積を測定した.同様に無染色の人工う蝕象牙質に形成された窩洞を測定し,得た数値をコントロールとした.算出したデータは一元配置分散分析とScheffeの検定で統計処理を行った(n=5). う蝕検知液のレーザー高吸収体の濃度が増加すると除去体積量が増加する傾向が認められた.レーザー高吸収体を4.0%配合するう蝕検知液を使用した場合,窩洞の深さは コントロールと比べて有意に高い値を示し,また窩洞の除去体積量はその他の濃度と比べて有意に高い値を示した(p<0.05). 今回試作したレーザー高吸収体配合う蝕検知液を使用することにより, Er:YAGレーザーにも吸収特異性が認められた.レーザー高吸収体を約6%配合することにより,健全象牙質はう蝕検知液に染色していないため削除されず,う蝕検知液に染色されたう蝕象牙質のみが削除できるエネルギー設定を行うことが可能となり,より安全で,かつ効率的な選択的う蝕除去ができると考えられる.今後はう蝕を持つ抜去歯を用いて,レーザー高吸収体配合う蝕検知液とEr:YAGレーザーの最も適した使用条件を検討していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回試作したレーザー高吸収体配合う蝕検知液を使用することにより, Er:YAGレーザーにも吸収特異性が認められた.レーザー高吸収体を約6%配合することにより,健全象牙質はう蝕検知液に染色していないため削除されず,う蝕検知液に染色されたう蝕象牙質のみが削除できるエネルギー設定を行うことが可能となり,より安全で,かつ効率的な選択的う蝕除去ができると考えられる.今後はう蝕を持つ抜去歯を用いて,レーザー高吸収体配合う蝕検知液とEr:YAGレーザーの最も適した使用条件を検討していく予定である.現在、う蝕のあるヒト抜去歯の歯根を切断した後、う蝕のあるヒト歯をエポキシ樹脂で包埋し、天然う蝕試料を作製する。天然う蝕試料に対して試作したレーザーマーカーを滴下し、う蝕部を染色したのち、染色部をEr:YAGレーザーにて削除を行っている。この際、健全象牙質が削除されず、染色されたう蝕部のみを削除する試作レーザーマーカーの化合物の配合量と照射エネルギーを検討しているが、現在のところ、抜去されたう蝕を持つ歯で検討を行っているが、歯の個体差、う蝕の進行度など状況がかなり異なることから平均化された結果を得るに至っていない。さらにサンプル数を増やし、計画を遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降 う蝕のあるヒト抜去歯の歯根を切断した後、う蝕のあるヒト歯をエポキシ樹脂で包埋し、天然う蝕試料を作製する。天然う蝕試料をう蝕の中心を通るように縦断し、それぞれα、β試料とする。α、β試料に試作したう蝕検知液を滴下し、う蝕部を染色したのち、α試料は染色部を実験1.で有効とされた試作う蝕検知液とレーザーの条件で削除する。β試料は微少硬度測定装置にて硬さマッピングを行う。α試料の削除した部分と、β試料の硬さがう蝕と判定された部分の深さと面積を比較、検討する。 天然う蝕試料に対して試作したレーザーマーカーを滴下し、う蝕部を染色したのち、染色部をEr:YAGレーザーにて削除を行っている。この際、健全象牙質が削除されず、染色されたう蝕部のみを削除する試作レーザーマーカーの化合物の配合量と照射エネルギーを検討しているが、現在のところ、抜去されたう蝕を持つ歯で検討を行っているが、歯の個体差、う蝕の進行度など状況がかなり異なることから平均化された結果を得るに至っていない。さらにサンプル数を増やし、計画を遂行する予定である。また硬さとう蝕除去との関連性を求めるため、硬さ測定も並行して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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