我々は第1級アミノ基を有する化合物(レーザー高吸収体)を配合するとEr:YAGレーザーの吸収率が向上することに着目し,今回,レーザー高吸収体を配合したう蝕検知液を試作し,Er:YAGレーザーに対する染色した人工う蝕象牙質に対する除去効率を測定し,レーザー高吸収体配合う蝕検知液による選択的う蝕除去法を検討したので報告する. ウシ歯象牙質を0.1M乳酸に24時間浸漬し,人工う蝕象牙質を作製した.各濃度の無色と緑色のう蝕検知液を滴下し,Er:YAGレーザーを照射し,形成された窩洞を3次元形状測定装置にて測定し,深さ,除去体積を測定した.同様に無染色の人工う蝕象牙質に形成され た窩洞を測定し,得た数値をコントロールとした.算出したデータは一元配置分散分析とScheffeの検定で統計処理を行った(n=5). う蝕検知液のレーザー高吸収体の濃度が増加すると除去体積量が増加する傾向が認められた.レーザー高吸収体を4.0%配合するう蝕検知液を使用した場合,窩洞の深さは コントロールと比べて有意に高い値を示し,また窩洞の除去体積量はその他の濃度と比べて有 意に高い値を示した(p<0.05). 平成25年度は抜去歯のう蝕に対して、レーザー高吸収体を4.0%配合するう蝕検知液を使用した後、Er:YAGレーザーで齲蝕除去を行い、カリオテスターにて残存歯質の硬さを測定した。また同様に齲蝕検知液で染色後、ラウンドバーで齲蝕除去を行い、同様にカリオテスターにて残存歯質の硬さを測定した。その結果、残存歯質の硬さはともに健全歯質と同等となり、有意差は認められなかった。
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