研究課題/領域番号 |
23592821
|
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
泉 利雄 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40248547)
|
研究分担者 |
阿南 壽 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80158732)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 生体活性ガラス / ストロンチウム / 骨補填材 |
研究概要 |
試作Sr含有BAGを溶融法によって合成した。ガラスはCaO-SiO2-P2O5系であり、CaOとSrOとを0%、20%、50%、75%、100%置換させた。溶融ガラスを内径10mmの鋳型に流し込みロッド状に固化させ、厚さ1mmに切断した。対照としてハイドロキシアパタイト(HA)をディスク状に焼結させたものを使用した。7週齢SD系ラットの背部に4か所の切開線を入れ皮下にポケットを作成し、右側ポケットに試作BAG-Sr0%およびBAG-Sr20%のdiscを、左側にはHA discを埋入した。術後4週で屠殺し、4%PFAで固定後、パラフィン包埋しパラフィン切片を作製した。切片にHE染色を施し鏡検したところ、BAG-Sr0%およびBAG-Sr20%のdisc周囲は線維性結合組織で被覆され、強い炎症性細胞浸潤を認めなかった。また 異物巨細胞の出現もほとんど認めなかった。これはHA discと同じ所見であった。以上より試作BAG-Sr0%およびBAG-Sr20%が 良好な生体親和性を持つことが明らかになった。 当初ラットの頭蓋骨にcritical size として直径8mmの骨欠損を作った。マイクロCTを使用した検索で、処置後1カ月では試作BAG-Sr0%はほとんど溶解せず欠損部に残っているのに対し、試作BAG-Sr75%はほとんど溶解し欠損部に残っていなかった。処置後6カ月では試作BAG-Sr75%埋入群では、粒子状の石灰化物が骨欠損部に多数生じ欠損部辺縁から骨の増生が著明に認められた。HE染色を施したパラフィン切片標本では、処置後1カ月の試作BAG-Sr0%粒子は、立方形の細胞に周囲を囲まれ、亀裂が生じている粒子ではエオジン好性の物質が亀裂を満たしている所見が認められたが、硬組織の形成は認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・当初骨欠損のcritical size を直径5mmとしていたが、文献で8mmにすべきという報告があったので実験をやり直したため。・骨欠損部での骨の新生が予想以上に遅く、3か月以上経過しないと骨形成が認められなかったので実験期間が長くなったため。
|
今後の研究の推進方策 |
・骨欠損のcritical sizeを直径7-8mmとし、欠損部に何も入れない対照群、試作BAG-Sr0%、BAG-Sr50%、BAG-Sr75%およびBAG-Sr100%を埋入した実験群につき、HE標本を作製する。骨の形成量をマイクロCTを用いて計測比較する。・ガラス周囲に出現する多核巨細胞の由来を免疫組織化学的に検索する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
設備備品は充足しているので、主に実験動物の購入、飼育費 および 試薬、実験機材の購入に使用する予定である。
|