研究課題/領域番号 |
23592822
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研究機関 | 吉備国際大学短期大学部 |
研究代表者 |
中村 真理子 吉備国際大学短期大学部, 保健科, 教授 (90284067)
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研究分担者 |
吉田 靖弘 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90281162)
松川 昭博 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90264283)
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キーワード | リン酸化プルラン / 可視光硬化型ゼラチン |
研究概要 |
本研究では可視光硬化型ゼラチン,リン酸化プルランを使用することにより,直接覆髄・断髄,歯周病,インプラント周囲炎により吸収された骨の再生療法に応用可能な多目的生体接着システムの開発を目指している。接着剤には,強固な接着性という点で材料の安定性が求められているが,その一方で創傷治癒までには速やかに消失する必要があるという相反する特性を実現する必要がある。本年度は可視光硬化型ゼラチン,リン酸化プルランが上記機能を有しているかどうかの確認を前年度に引き続き行うとともに,マウス大腿骨にリン酸化プルランを添加,生体に対する反応の確認を行った。またリン酸化プルランが将来製品化し,人体埋め込み型材料となることを想定し,エンドトキシン量の計測も行った。 1.リン酸化プルランは歯周病,覆髄材と使用目的に応じて,粘度・硬度を変化させる必要があるが,添加するリン酸カルシウムの種類,量を変えることにより粘度・硬度を変化させることが可能となることが明らかとなった。またマウス大腿骨にリン酸化プルランを添加したところ生体内で吸収し,なおかつ炎症反応が軽度であること,骨が再生することが認められた。また添加するリン酸カルシウムの量,種類を変化させることにより吸収速度に差があることが確認された。 2.リン酸化プルランに含有されているエンドトキシンの量を計測した。その結果,1%濃度で1~2EU/mL含有されていることが確認された。 3.2種類の可視光硬化型ゼラチンをラット上顎臼歯に直接覆髄剤として使用したところ,アミノ基よりもカルボキシル基を有するゼラチンのほうが象牙質への接着性が優れていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,可視光硬化型ゼラチン・リン酸化プルランを基本材料として,直接覆髄・断髄に加え,歯周病やインプラント周囲炎により吸収された骨の再生療法にも応用可能な全く新しい薬剤徐放型の多目的接着システムを開発することを目的としている。今年度は昨年に引き続き接着剤に求められる性質,すなわち材料の安定性ならびに速やかに分解消失する特性を有しているかどうかの確認を行い,リン酸化プルランについては添加するリン酸カルシウムの種類・量により消失速度ならびに物性を変化させることが可能となることならびに骨再生能を有することが確認された。可視光硬化型ゼラチンは2種類の比較を行った結果,カルボキシル基を有するものが象牙質への接着性にすぐれていることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,以下の項目を通して,①直接覆髄・断髄や ②歯周病・インプラント周囲炎により吸収された骨の再生療法に応用可能な多目的生体接着システムを開発することを目的としている。すなわち,(1)分析化学的手法ならびに細胞実験による薬剤徐放評価(2)動物実験による直接覆髄・断髄用材料としての機能評価(3)動物実験による骨再生能評価である。平成24年度は(2)動物実験による直接覆髄・断髄用材料としての機能評価(3)動物実験による骨再生能評価について一定の成果を得ることができたが,引き続きこの項目については実験を継続していく予定である。最終年度は薬剤ならびに成長因子を添加した可視光硬化型ゼラチンならびにリン酸化プルランによりマウスあるいはラットの大腿骨・脛骨・頭蓋骨の欠損部の修復を行い骨再生能の確認を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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