研究課題/領域番号 |
23592824
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
飯田 俊二 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30281827)
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研究分担者 |
赤澤 敏之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術研究本部, 研究主幹 (80469692)
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
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キーワード | ハイドロキシアパタイト / 骨芽細胞 / 骨形成 / コラーゲン |
研究概要 |
具体的内容;目的: 1)ハイドロキシアパタイト・コラーゲン複合体粉末の作製 鮭骨を焼成、酸溶解によりHAp溶液を得、鮭皮を脱脂、酸抽出、消化、塩析によりCol溶液として調製し、これらを混合した。これらの溶液を293Kで熟成、洗浄、凍結乾燥することによりハイドロキシアパタイト・コラーゲン複合体粉末(HA-C粉末)を合成した。ヒト骨の組成比であるHAp:Col:H2O=7:2:1を参考にして、HAp/Col比3.5として使用した。 2)細胞培養 マウス頭蓋冠由来のMC3T3-E1細胞を使用し、培養液には10%牛胎児血清を添加したMEMα培地を用いた。後に行う固定操作を簡便化する為、12穴マイクロプレート上にカバーガラスをあらかじめ留置し、培養液、HA-C粉末添加培養液(3.3g/ml)を添加した後に、細胞播種し、37℃、5%CO2下にて2日間培養を行った。 3)試料作製 培養終了後カバーグラスを撤去しリン酸緩衝液(D-PBS)20分間、3回洗浄した。脱水はエタノールを用いて行い、70%、80%、90%、95%と順次高濃度とし、各15分間作用させ、続いて100%で20分間3回作用させた。その後白金蒸着を行った。 4)走査型電子顕微鏡による観察走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行った。 結果: 1)HA-C粉末非存在下で培養した場合 多数の細胞の存在が認められ、細胞はカバーグラス上に細胞突起を広くのばし接着していることがわかる。 2)HA-C粉末存在下で培養した場合 E1 細胞とともに、多数のHA-C粉末が観察された。細胞体の周囲を取り囲むように微細粒子が存在しており、細胞とカバーグラスとの接着面積は非粉末存在下のものよりも小さくなっている。 結論: 今後粉末の形態又は性状の改良を行うことで、吸収性生体模倣材料としての活用の可能性が得られると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各種セラミクスに対しての骨芽細胞様細胞の動態について調査を行ってきたが、現時点でメカニカルストレスを与えた細胞の動向については、未検索である。この点において、やや遅れていると判断した。 なお、研究目的では、骨代謝に基づく口腔組織の再生には①足場、②増殖因子、③細胞の3つが基本的に必要になると述べ、①の足場についてはハイドロキシアパタイトおよびコラーゲン複合体という担体で、確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、メカニカルストレスを与えた細胞を作製し、これらの細胞の各種セラミックス上での反応を見る(飯田)。また抜去歯を粉砕して得ることができる歯髄細胞の培養を行い、この中から未分化間葉系細胞を抽出し、これらにも機械的刺激を与え、担体+細胞複合体を作成して、骨親和性を確認する(飯田・赤澤・横山)。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度は、学部棟の移動引越しがあり、物品の置き場所などに苦慮したため、購入を差し控えたことによる未使用額の発生が生じた。 今年度は、主に試薬・実験器具など消耗品に80万円、学会発表、調査費用に35万円、謝金などに10万円を使用計画に考えている。
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