研究課題/領域番号 |
23592829
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
依田 正信 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (70005073)
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研究分担者 |
丸森 亮太朗 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (80534065)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | プラズマCVD / 歯科用合金 / チタニアコーティング |
研究概要 |
最先端成膜プロセス技術の一つ,マイクロ波プラズマCVD (Chemical Vapor Deposition)成膜技術を歯科分野に応用し,歯科用金属表面へのチタニアコーティングによる,いわゆる「白い金属」を歯冠修復物に応用することを目的に、本年度は純チタン表面へのチタニアコーティングを試みた。予備実験の結果、チタン基板には予め800℃から900℃の予備酸化が必要であることが判明した。その上で、マイクロ波出力、成膜圧力を各3段階に変化させ、プラズマCVDコーティング行った。コーティング後の試料について、(1)X線回折による結晶相同定、(2)高速分光光度計による測色、(3)SEMによる微細組織観察、以上を行った。その結果、(1)結晶相はいずれの条件においても,主要な生成物としてルチル型チタニアおよびTiOが認められた.(2)測色結果では、予備酸化温度850℃, 成膜圧力=0.2 kPa,マイクロ波出力1.0 kWおよび予備酸化温度850℃, 成膜圧力=0.4 kPa, マイクロ波出力=1.2 kWの条件で成膜した試料が,標準白色板との色差が小さく,チタン基板との色差が大きい値を示し、金属色隠蔽度が高く白色に近い試料が得られた。(3)SEMによる観察では、CVDにて成膜後では,予備酸化温度850℃,成膜圧力0.2 kPa ,マイクロ波出力1.0 kWにて成膜したもので,等方性の結晶組織が観察されたが,組織的にはまだ脆弱であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終的な目的は、歯科用金属への白色コーティングによる審美性の改善である。平成23年度に行った、純チタンへのプラズマCVDコーティングの実験結果から、チタン金属色の隠蔽効果が認められた。その隠蔽効果は臨床的にはまだ十分とはいえないが、白色化の可能性があることが示唆され、本年度の目標はおおむね達成できたものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、前年度の研究結果を基に、成膜条件をさらに検討し、より白色化できる条件を探すと伴に、臨床応用への必須条件である、付着強度の評価を実施していく。また、チタンのみならず、金合金等歯科応用されている合金についても、研究を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、主として歯科用金属材料費、研究打ち合わせ及び成果発表旅費が主たる部分を占める予定である。
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