研究課題/領域番号 |
23592831
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坪井 明人 東北大学, 大学病院, 准教授 (00241646)
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研究分担者 |
若森 実 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50222401)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | パッチクランプ / 脳幹網様体 / 咬合感覚 / 精神状態 |
研究概要 |
本研究は、シナプス応答を生体中で詳細に解析することを目的に開発が進められてきた生体In vivoパッチクランプ法を深部脳幹に応用して、顎口腔系への感覚刺激時ならびに咀嚼様運動時の脳幹網様体に存在する覚醒や睡眠、鎮静に関与する神経細胞の活動様相を記録し、咀嚼・咬合による感覚情報が高次脳機能である精神活動に影響を及ぼすメカニズムの実体を解明することが目標である。本年度は、生体In vivoパッチクランプ法の鍵となるプローブ(パッチ電極)の開発およびin vivo標本の作製法の確立を目指した。本研究では、刺入部位から15mm以上の深さに位置する神経細胞を標的細胞としているために、パッチ電極の形状は、十分にテーパーの長いものとしなければならない。そこで、ボロシリケートガラスピペットを材料とし、プログラム式マイクロピペットプラー(shutter, P-97/IVF)を用いて一段引きにて作製した。さらに、マイクロフォージにて、パッチ電極の先端を炎光研磨した。種々のテーパー形状、先端形状および先端径のパッチ電極を作製したが、残念ながら使用に耐えうるものはまだ得られていない。一方、モデル動物には、脳幹部の細胞構築学的構造が詳細に調べられている(Meessen, H. & Olszewski, J. 1949)ウサギ(日本白色種、体重2.0~2.3kg)を用いた。キャリアガスに空気を用いたセボフルラン吸入麻酔下で、脳定位固定装置に固定したウサギ後頭骨を削除して小脳を露出し、これより脳幹への電極の刺入とニューロン活動の記録を試みたが十分な成果を得られていない。しかしながら、脳幹網様体に存在する意識レベルに関与する神経細胞活動の記録を可能とする研究は、咀嚼・咬合による感覚情報が高次脳機能である精神活動に影響を及ぼすメカニズムの解明に道を拓く一助となると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災により損壊した実験設備の復旧が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災により損壊した実験設備の復旧が遅れていたため、研究の遂行に支障をきたして当該研究費が発生した。現在ではほぼ復旧し、これまでの研究の遅れを取り戻すべく鋭意実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
損壊した実験装置の新規更新が必要となる可能性がある。
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