研究課題/領域番号 |
23592832
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土井 直洋 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (00466533)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
小山 重人 東北大学, 大学病院, 准教授 (10225089)
塙 総司 東北大学, 大学病院, 助教 (90431585)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 三次元デジタイザ / 義歯形態 / 顔面計測 / 顔面整容 |
研究概要 |
本研究では,顔貌の主観的評価と整合性の得られた客観的評価指標を得ることを目的として,上顎無歯顎患者の義歯床縁・床翼研磨面形態,咬合高径,下顎位を変化させたときの顔貌を術者および患者による主観的評価ならびに非接触三次元デジタイザによる客観的評価を行い,主観的評価と客観的評価の関連性を明らかにすることである.本年度においては,顔面非対称と判定した片側性顎欠損を有する顔面非対称患者1名を用いた。患者の顔面に16の計測点(左右外眼角点,鼻下点,上唇点,左右鼻翼下点,左右口角店,顎欠損側頬部上の4点,健常側頬部上の4点)を設定し,義歯装着時および義歯非装着時において,各計測点から正中基準平面までの距離,正中基準平面に対する非対称率,正中基準平面と左右の点を結んでできる直線との角度を計測した.実験義歯は,通法どおり製作したもの,欠損部頬側床翼部をパラフィンワックスで3mm豊隆させたもの,頬側床翼部を6mm豊隆させたものの3種類を使用した.義歯非装着時の上唇点と正中基準平面との距離は1.6 mmであったが,義歯を装着することによりその距離は減少した.また,義歯装着により欠損側頬部のうち2点において正中との距離が大きくなり,義歯床の豊隆が増加するにつれその値も大きくなった.左右口角点を結んだ線分と正中基準平面が成す角度は,通法どおり製作した義歯,3 mm豊隆させた義歯装着時には変化が認められなかったが,6 mm豊隆させた義歯装着時には角度が増加し90度に近づいた.外眼角,鼻翼,口角,頬部の4点の非対称率は,通法どおり製作した義歯,3 mm豊隆させた義歯装着時には変化が認められなかったが,6 mm豊隆させた義歯を装着したときには,鼻翼,口角,頬部の2点において非対称率が増加した.これらの結果より,義歯床の豊隆度の変化が,口唇部,欠損部頬部,鼻翼,口角に影響を与えることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は被験者1名を用いて義歯床の豊隆度を変化させた義歯を製作し顔面計測および分析を行ったのだが,計測点の選定,義歯床の形態の決定,計測のパラメータの決定するにあたり試行錯誤を行ったため予定していた計画より遅れてしまった.また,東日本大震災のため,顔面計測を行う機器が横転し,外装に軽度の破損等もあり故障が疑われたためメーカーに搬送し,検査に数か月を要し実験が遅れたことが理由である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,実験方法を確立させるために,本年度の結果を反映させたうえで義歯床形態の決定,および計測項目を決定する.実験方法の確立後は被験者を増加させより多くのデータを収集することに努める.また,客観的データに加えて主観的データも取得する必要があるが,まず主観的データを得るためのプロトコールを確立させる.現在,主観的評価の試行錯誤を行っておりプロトコールの作成は進行中である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,実験義歯の形態やプロトコールの確立に重点をおいたため分析用パーソナルコンピュータの購入を保留した.当該研究費は,主にデータ解析に必要不可欠であるコンピュータの購入費,被験者の増加に伴う実験義歯製作費,データ保存用のストレージ費,主観的分析を行う際に必要となるデジタルカメラ購入費,資料収集にかかる旅費,成果発表旅費,機器修理費等にあてる予定である.
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