研究課題
近年,金属製クラスプを使用しない部分床義歯(いわゆるノンクラスプデンチャー)が,審美性の高い義歯として社会から注目されている.ノンクラスプデンチャーの使用について,日本補綴歯科学会は,外観の回復を優先し,適応を誤った場合に生ずる顎堤の異常吸収,支台歯の移動という重大な障害を惹起する可能性があるため,今後その適応について科学的な検証が必要であるとの見解を示している. これに対して,弾性床用材料の1つであるポリエステル共重合体を用いたノンクラスプデンチャーについて,機能時の顎堤の応力負担を模型実験で検討した結果,金属製のレストを有する設計であれば適応となり得ることが報告されている.しかしながら,現時点で従来のクラスプデンチャーに対するノンクラスプデンチャーの有効性,さらには顎堤,支台歯,歯周組織への影響に関する臨床デ-タは国内・国外共に報告されていない.審美性が重要視される現代社会において,ノンクラスプデンチャーは,今後急速に普及していく可能性がある.従って,臨床研究により従来のクラスプデンチャーに対するノンクラスプデンチャーの有効性とデメリットについて明らかにして,その適応と限界を示す必要がある.そこで,本研究では,従来のクラスプデンチャーに対するポリエステル共重合体を用いた部分床義歯(ノンクラスプデンチャー)の臨床的な有効性と歯周組織への短期的な影響を明らかにすることを目的とした.H24年度においては,被験者のリクルートを行い,義歯を製作してデ-タ採得を行った.また,熱可塑性樹脂の適合性についての基礎的研究も並行して行った.
2: おおむね順調に進展している
被験者のリクルートとデ-タ採得を行っており,おおむね予定通りに達成された.さらに,義歯の適合性についての基礎的検討も行った.
H25年度は,予定人数を目標に引き続き被験者のリクルートを行い,義歯を製作してデ-タ採得を継続して行く.
データ分析,論文執筆及び投稿,研究成果の発表の費用として支出を予定している.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Arch Oral Biol
巻: 58 ページ: 377-383
Eur J Oral Sci
巻: 120 ページ: 526-530