研究課題
ジルコニアフレームを用いたクラウンブリッジでは、陶材の剥離や破折が問題であり、フレームと陶材の焼付強さの向上が課題となる。そこで、焼付強さが求められる咬合面部はポーラス、高強度が必要となる歯頚部は緻密質となるポーラス/緻密2層構造ジルコニアフレームを考案した。平成25年度は、2層構造ジルコニアブロックを試作し、CAD/CAMによる加工性を確認し、陶材を積層したクラウンの破壊抵抗を市販ジルコニアや緻密質ジルコニアのクラウンと比較検討した。市販のY-TZP粉末に造孔剤を添加して焼結しポーラス/緻密2層構造のジルコニアブロックを試作した。この2層構造ブロックに加え、市販のジルコニアブロックおよびY-TZPの緻密質ジルコニアブロックを歯科用CAD/CAMにより切削加工してフレームを製作した。完成したジルコニアフレームのチッピングの有無を確認し、辺縁および内面の間隙量を測定して適合性を評価した。3種のジルコニアフレームに陶材を積層しオールセラミッククラウンを製作し、クラウンの咬合面中央部に垂直方向から荷重を負荷して破壊試験を行いクラウンの破壊荷重を求めた。3種のジルコニアともにチッピングなしにフレームを切削加工できた。辺縁および内面の間隙量は3種ともに有意差はみられなかった。2層構造ジルコニアフレームのクラウンは、市販ジルコニア、緻密質ジルコニアよりも31~35%破壊荷重が大きかった。2層構造ジルコニアフレームのクラウンでは、半数以上がフレームごと破折した。これは、ポーラスジルコニアの気孔部に築盛陶材が嵌入することにより陶材がフレームから剥離しなかったためであると考えられた。本研究より、ポーラス/緻密質2層構造ジルコニアフレームを用いたオールセラミッククラウンは高精度での加工が可能であり、築盛陶材が剥離しにくく、今後の臨床応用が期待できる材料であることが示された。
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Dental Materials Journal
巻: 33(2) ページ: 1-6
Journal of Prosthodontic Research
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10.1016/j.jpor.2013.09.001.