研究課題
対象者は,住民基本台帳から無作為に抽出した兵庫県伊丹市,東京都板橋区(以上都市部),ならびに兵庫県朝来市,東京都西多摩郡(以上非都市部)の後期高齢者793人(男性381人,女性412人,年齢79~81歳)とした.食品栄養摂取状態として,000kcal当たりの摂取重量を評価に使用した.また,口腔機能の客観的評価として最大咬合力(義歯使用者は装着状態で)を測定した.その他,社会経済的因子として性別,教育歴,経済状態,家族形態を聴取した.統計学的分析は,都市部・非都市部に分けて行い,各食品群および栄養素の摂取重量を目的変数とし,性別,教育歴,経済状態,家族形態,最大咬合力を説明変数とした強制投入法による重回帰分析を行った.統計学的有意水準は5%とした.対象者の平均最大咬合力は都市部で340±253(N),非都市部で299±220(N)であり,両群間で有意差を認めた.また摂取エネルギー量は,都市部で1911±597(kcal),非都市部で2104±680(kcal)であり非都市部が有意に大きかった.さらに緑黄色野菜の摂取重量は,都市部で70.5±37.3(g/1000kcal),非都市部で68.4±39.7(g/1000kcal)であり有意差は認めなかった.重回帰分析の結果,都市部においては性別,教育歴に加え最大咬合力が,緑黄色野菜ならびにその他の野菜の摂取重量に対し有意な説明変数となった.しかし非都市部では,最大咬合力といずれの食品摂取の間にも有意な関連は認められなかった.これは,非都市部において食品選択に制約があり,口腔機能以外の因子が,摂取食品の選択により大きく関わっていることが示唆された.また栄養摂取に関して,都市部では,レチノール(ビタミンA),パントテン酸,αトコフェロール(ビタミンE),食物繊維の摂取重量と最大咬合力の間に有意な関連が認められた.
2: おおむね順調に進展している
被験者も順調に集まり,検査も問題なく,他分野との連携も良好である.
これまで通り進め,被験者数を増やし,分析と総合評価を行う.
これまで通り進め,被験者数を増やし,分析と総合評価を行うには,研究費が必要である.
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