研究課題/領域番号 |
23592849
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉川 峰加 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (00444688)
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研究分担者 |
津賀 一弘 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (60217289)
長崎 信一(山田信一) 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (10263724)
栢下 淳 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (40312178)
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キーワード | 高齢者 / 嚥下 / 舌圧 / 歯科補綴 |
研究概要 |
本年度は広島大学病院にて得られた嚥下内視鏡検査(VE)のデータに加えて,協力施設における嚥下造影検査(VF)データを用い研究を実施した。 <研究1>健常若年者における口腔・咽頭機能ととろみ濃度との関連性を検討することを目的とし、健常若年者(男性14名,女性5名,年齢22-26歳)でいずれの者も個性自由咬合を有し摂食・嚥下障害の自覚症状のない者を対象とした。液体5ccならびにとろみ水5cc(0.5,1,2,3%)をランダムに嚥下させ,その様子をビデオ嚥下内視鏡を用いて評価した。嚥下機能の主観的評価(誤嚥、口腔・咽頭内残留、早期咽頭流入)および客観的評価(嚥下指示―ホワイトアウト間の時間計測)を実施した。その結果、各被験者で誤嚥を認めなかったものの、内視鏡の存在により早期咽頭流入を示すものが大半であった。粘性の違いと、嚥下指示からホワイトアウトまでの所要時間については有意差を認めなかったが、咽頭内残留に関しては液体ととろみ1,2,3%を比較すると各々有意差を認めた。 <研究2>ALS患者における口腔・咽頭機能ととろみ濃度との関連性を検討することを目的とし、ALS患者(男性2名、女性3名、年齢45-70歳)を被験者として液体3ccならびにとろみ水3cc(1%,3%)をランダムに嚥下させ、その様子をVFを用いて評価した。嚥下機能の主観的評価(誤嚥、口腔・咽頭内残留、早期咽頭流入)および客観的評価(口腔通過時間、食道開大時間、咽頭反射時間、咽頭通過時間)を実施した。その結果、各被験者とも誤嚥を認めなかったが、すべての被験者で早期咽頭流入を認めた。客観的評価においては粘性の違いで所要時間に有意差を認めなかった。被験者の疾患進行レベルが異なるため嚥下障害にも差異を認めたが、全般的には舌運動・咽頭収縮力の低下や喉頭挙上量の減少等で口腔・咽頭内残留量が多くなる傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付初年度に代表者の吉川が海外留学を行っていたため、データ採取の遅れを認める。患者臨床データの採取では、協力施設における記録システムの構築に時間を要しており、患者データ採取が予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
健常成人におけるデータ採取を継続するとともに、パーキンソン病や筋委縮性側索硬化症などの進行性神経筋疾患患者に加えて、頭頸部ガン患者や慢性期脳血管障害患者、認知症患者などのデータ採取を行っていく。 とくにトロミの物性変化に対応する嚥下動態の変化や嚥下音の変化なども確認できはじめているため、より詳細な解析を実施予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ビデオ嚥下造影検査やビデオ内視鏡検査によるデータ解析にて、より詳細な嚥下動態をとらえるべく画像解析のソフト等の使用が必要となってきており申請予定である。 さらに、患者データの採取のため、研究施設への出張が必要となるとともに、学会発表や論文投稿も予定しているため、旅費等の申請を予定している。
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