研究課題/領域番号 |
23592850
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
津賀 一弘 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60217289)
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研究分担者 |
赤川 安正 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00127599)
吉川 峰加 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00444688)
日浅 恭 広島大学, 病院, 助教 (60304432)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯学 / 検査 / 認知症 / 高齢者 / 摂食 |
研究概要 |
口腔機能の維持改善は、高齢者のQOLの低下予防に有効である。しかしながら、口腔機能検査に本人の協力が得られない認知症高齢者では、機能の適正な評価・診断ができないまま、食事の介護サービスが提供されている。そこで、認知症高齢者においても口腔機能を定量評価できる簡易な検査が是非とも必要であるが、利用できる検査はまだ無い現状である。本研究の目的は、(1)棒付き飴を短時間・自発的に舐めて摂取する重量と咬合力、最大舌圧、刺激唾液量等の既存の機能検査値および摂取可能食品との関係を明らかにすること、(2)認知症高齢者における経口摂取の診断基準値を決定して、認知症高齢者の簡易な口腔機能定量検査を開発すること、にある。 平成23年度は飴を舐める機能の解明として健常高齢者を対象として、被験者に棒付き飴1個(Chupa Chups, Barcelona, 13.6 g, イチゴ味)を(1)5分間自由に舐めさせる(2)5分間全力で舐めさせる、の二つの舐め方について、舐める前後の飴の重量変化を電子天秤にて測定した。一部の被験者では併せてオーラルディアドコキネシスの「パ」「タ」「カ」の連続発音速度、最大舌圧、刺激唾液量、最大咬合力、食品摂取状況を調査し、飴を舐める機能と他の口腔機能、摂取可能食品との関連を検討した。さらに、本研究で開発を目指す簡易口腔機能定量検査が実際の認知症高齢者においても実施可能であるか検討するため、一部要介護高齢者についても飴を舐める機能の測定、オーラルディアドコキネシス、最大舌圧の測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自覚的に摂食・嚥下障害を認めない前期健常高齢者と後期健常高齢者を対象として、被験者に棒付き飴1個(Chupa Chups, Barcelona, 13.6 g, イチゴ味)を(1)5分間自由に舐めさせる(2)5分間全力で舐めさせる、の二つの舐め方について、舐める前後の飴の重量変化を電子天秤にて測定、併せてオーラルディアドコキネシスの「パ」「タ」「カ」の連続発音速度、最大舌圧、刺激唾液量、最大咬合力、食品摂取状況を調査し、飴を舐める機能と他の口腔機能、摂取可能食品との関連を検討したところ、全力で飴を舐める機能は健常前期高齢者において男性で有意に大きな値を示すものの、健常後期高齢者では性差を認めないことが明らかとなった。さらに、後期高齢者の全力で飴を舐める機能は前期高齢者より低い値を示し、加齢とともに全力で飴を舐める機能も低下することが示唆された。さらに、本研究で開発を目指す簡易口腔機能定量検査が実際の認知症高齢者においても実施可能であるか検討するため、一部要介護高齢者についても飴を舐める機能の測定、オーラルディアドコキネシス、最大舌圧の測定を行い、認知の低下のみられる要介護高齢者においても飴を舐める機能の測定が可能であることが検証できた。研究途中、飴製品への異物混入から販売元の自主回収があり、購入の見通しが一時立たなくなったため、代替飴(H+Bライフサイエンス社製)の応用についても検討を行った。その後、当初の棒付き飴が販売再開され、研究を遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究成果より、棒付き飴の舐め方については、自由に舐めた場合より全力で舐めるよう指示したほうが検査として有用であることが強く示唆された。そこで、今後の研究をさらに推進するため、飴の舐め方を5分間全力で舐める方法に限定し、広島県下および島根県下の特別養護老人ホーム在住で覚醒状態の良好な認知症高齢者を対象として棒付き飴なめ検査と各種口腔機能検査、摂取可能食品調査、全身健康状態の調査を行っていくこととした。
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次年度の研究費の使用計画 |
認知症高齢者における本検査の応用性と診断基準値を探求するため、次年度の旅費を用いて広島県下および島根県下の特別養護老人ホームを訪問し,該施設在住で覚醒状態の良好な認知症高齢者を対象として次年度の物品費で購入する棒付き飴(Chupa Chups, Barcelona, 13.6 g, イチゴ味)をなめる新規口腔機能検査を行うとともに,各種口腔機能検査、摂取可能食品調査、全身健康状態の調査(過去6カ月間の発熱、体重の増減、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、日常生活自立度(ADL)の変化)を6か月間隔で行うための検査用消耗品、記録用消耗品を次年度物品費で購入する。なお、平成23年度研究途中、飴製品への異物混入から販売元の自主回収があり、そのために一時施設訪問、検査が中断したために約13万円の未使用が出たが、本年度同じ目的に使用する計画である。
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