研究課題/領域番号 |
23592851
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田地 豪 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (80284214)
|
研究分担者 |
二川 浩樹 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10228140)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 顎顔面補綴学 |
研究概要 |
現在のエピテーゼの深刻な問題は,顔面皮膚との境界部で顔面の動きに対応できないことにある。このため,より自然な審美や表情の表現が十分にできていない。この問題の解決には,顔面の動きに同調する伸縮性材料の開発や,エピテーゼと皮膚とを接着させる新しい技法が必要であるが,そのためには,顔面皮膚の粘弾性特性や挙動の詳細を把握することが必要不可欠となる。しかしながら,この分野での研究はリアルタイムでの動作解析が困難なことから,ほとんどなされていない。最新,プロセシング技術の進歩に伴って,顔面の動きを解析できる革新的なモーショントラッキングテクノロジーが開発された。本研究では,新しいモーショントラッキング解析を用いて顔面の動きを詳細に分析し,このデータ情報に基づいて新しいエピテーゼ製作法の開発を目指す。 本研究では研究期間内に以下の3点について明らかにする計画を立てた。すなわち,(1)顔面皮膚に近似した粘弾性特性を有するエピテーゼ材料の開発:顔面皮膚の粘弾性特性を分析し,顔面皮膚に近似した粘弾性特性を有するエピテーゼ材料を開発する。(2)顔面皮膚の動きに同調できる数種のエピテーゼ材料の試作:顔面皮膚およびエピテーゼの挙動を新しいモーショントラッキングシステムを用いて解析し,顔面皮膚と同調できる数種のエピテーゼ材料を試作する。(3)顔面皮膚の動きと同調する新しいエピテーゼ製作法の開発:開発したエピテーゼ材料を用いて,顔面皮膚の動きと同調するエピテーゼ製作法を開発する。 本年度は、粘弾性測定器を購入し、顔面皮膚の粘弾性測定と既存のエピテーゼ材料の粘弾性測定を行った。顔面皮膚の粘弾性は部位によって差があることが明らかとなった。また、既存のシリコーン系エピテーゼ材料は、顔面皮膚よりもやや硬いことがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科学研究費補助金交付決定額が減額される可能性があるとのことで,慎重な執行につとめ,粘弾性測定器の購入が遅れたため。また,疫学研究倫理審査の手続きに時間を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
エピテーゼ材料の分析を行うにあたり,挙動解析よりも,粘弾性特性の分析をまず先に行うべきと考えた。エピテーゼ材料の粘弾性特性の分析から,シリコーン系材料のみならず,ウレタン系材料の検討も必要であることが明らかとなった。そこで今後は各種材料試験を行い,さらにモーショントラッキングシステムによる挙動解析を行うことで,顔面皮膚の挙動と同調する材料を選定・開発する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
各種材料試験を行うため,エピテーゼ材料,試料製作のためのフレーム,試験機の治具などが必要である。また、モーショントラッキングシステムを用いた解析を行うため,各種マーカーや記録装置が必要である。これらの機器・材料を用いて研究を進める計画である。
|