研究課題/領域番号 |
23592857
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永留 初實 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30284516)
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研究分担者 |
牧平 清超 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80304450)
諸井 亮司 九州大学, 大学病院, 助教 (70325471)
寺田 善博 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30038898)
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キーワード | 唾液 / 抗菌材料 / ラクトフェリン |
研究概要 |
実験1:樹脂含有ティッシュコンディショナー結合ヒトラクトフェリンの抗菌試験 C. albicansを含む菌液1 mL中にhLF結合試料を浸漬し、24時間、25℃好気条件下で振盪しその抗菌効果を検討した。その溶液を培地に播種し、37℃にて48時間好気培養を行い生菌数を測定した。コントロールとして樹脂を4、8 wt%含むT-conを、hLF溶液の代わりにリン酸バッファー中に浸漬したものを使用した。 結果:hLFを結合したT-conのC. albicansに対する抗菌効果は、4、8 wt%試料で共にコントロール試料に対して有意に抗菌性を示した。実験試料の4 wt%と8 wt%間には有意差はなかった。4 wt%でも十分な抗菌作用を示した。これらの結果から樹脂を含有したT-conはhLFを結合し,C. albicansに対して抗菌性を有することが示唆された。 実験2:樹脂含有ティッシュコンディショナーの機械的強度試験 樹脂を4、8 wt%含む直径10 mm、高さ20 mmのT-conを、ステンレスの型に填入しスライドガラスを介して適度な圧で圧接することで作製した。通常の粉液比で作製した樹脂を添加しないものをコントロール試料として実験試料と同様に作製した。レオメーター(サン科学社製)を用いて、試験片に速度20 mm/minで10%の圧縮ひずみを加え、そのときの応力とひずみから圧縮弾性率を算出した。 結果:無歯顎患者の口腔粘膜の弾性率がある。この値は0.66–4.36 Mpaであり、その平均は2.73 MPである。本実験では4、8 wt%試料の圧縮弾性率の値はそれぞれ0.27、0.33 MPaであり、無歯顎患者の口腔粘膜の弾性率値よりも低値であった。このことより実験試料は口腔内においても使用できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度行う予定であった実験についてはすべて行い、有効な結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
開発した口腔内常在タンパク質結合型抗菌歯科材料の抗菌効果と物性試験までは予定通りに行い、十分に抗菌効果を発揮し、現存する歯科材料と同様な使用が可能であるとこが分かった。しかし、人体への影響が最大の問題となるので、最終年度は人体への影響について検討し、最終的な製品開発について各方面の研究者や企業との懇談を行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
大きな設備投資などはない。実験器具、材料など消耗品、緊急時の発電装置に研究費を使用する予定である。また最終年度であるので、データ処理や統計等を行うコンピューターおよびソフトを購入予定である。また、成果の発表や海外研究所との共同研究についても検討する費用に充てたいと考えている。
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