研究課題/領域番号 |
23592858
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田上 直美 長崎大学, 大学病院, 講師 (70231660)
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研究分担者 |
柳田 廣明 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20380925)
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キーワード | 接着 / ファイバー / 人工歯 / フィラー / レジンセメント |
研究概要 |
平成24年度においては、研究実施計画に基づきin vitro研究及びin vivo臨床研究に着手した。臨床研究では、長崎大学病院に来院した患者について、前歯欠損(1歯)に対し、ポリエチレンファイバー(Kerr コンストラクト:カボデンタルシステムズジャパン)で補強した接着ポンティック補綴装置(ダイレクトボンディングブリッジ)の装着を行い、装着日をベースラインとして前向きな追跡調査を開始した。更に、現段階において得られている臨床成果について、学術大会にて発表を行った。 In vitro試験としては、接着ポンティック補綴装着に用いるセメントの強化を試みた。MMA系接着性レジンセメントの強化としてモノマー液(MMA+4-META)に直径7 nmのフィラーを混入し物性向上を試みたが、3wt%以上の混入により接着強さが有意に低下したため、次の段階としてポリマー側にナノフィラーを混入させる実験を試みた。混入するフィラー量はポリマーに対して5wt%に固定し、直径7 nm及び12 nmのフィラー、またそれぞれを有機質複合フィラーとして混入した計4種類のポリマーを試作し、MMAモノマー及び重合開始剤と混和し硬化させ、曲げ試験を実施した。その結果、全ての条件においてノンフィラー型MMA系レジンセメントと同等の曲げ強さが得られた。 平成24年度においては上記の研究の他、レジンの接着における金属処理の効果について学術雑誌に投稿した。また、本研究計画に関連して、コンポジットレジン間接修復によるマイクロリーケージの症例報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は補助金支給の都合から購入予定だった機器の購入ができなかったため、研究着手が遅れた。平成24年度は上記を踏まえて、新しい機器の使用に改変した研究計画を作成し、年度当初より研究を実施した。その結果、研究の進行状況は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、可能な限り今年度実施した研究を継続する。特にin vitro研究においては、フィラーの混入率を変化させ、他の物性にも着手する他、別のフィラーの混入、またセメントへのファイバーの混入など、多くの新しい実験の推進を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費については、基本的に申請当初の研究計画を蹈襲し、研究計画に沿った予算執行を予定している。特に、in vitro実験には多くの研究経費を使用することになる予定である。
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