研究課題/領域番号 |
23592859
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鎌田 幸治 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60264256)
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研究分担者 |
平 曜輔 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40226725)
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キーワード | CAD/CAM / ミリング法 / レーザーシンタリング法 / コンポジットレジン / 接着 |
研究概要 |
作製した補綴物を長期間口腔内で機能させるために、ミリング法やレーザー焼結法で製作されるチタンとCr-Cr合金製のフレームワークへのハイブリッド型コンポジットレジンとの接着耐久性を高めることを目的とする。 本年度はレーザー焼結用Cr-Cr合金パウダーをレーザー焼結装置によりφ10 x 2.5 mmの円板状に積層造形したものとその表面にビーズ様の維持装置を付与し、維持装置の間隔が異なる試料を作製した。接着性モノマーとしてリン酸エステル系モノマー(MDP)、チオリン酸系モノマー(MEPS)、ホスホン酸系モノマー (6-MHPA)を含むプライマーで試料の表面処理を行い、歯冠用ハイブリッド型コンポジットレジンとの接着耐久性ついて検討した。その結果、レーザー焼結試料のビーズ様の維持装置を付与することで維持力を高めることができた。ビーズ様の維持装置を付与しない試料ではMDPとMEPSが接着性改善に有効であった。ビーズ様の維持装置の付与は機械的な維持、MDPとMEPSは化学的結合を向上させ、両者を併用することによって、レーザー焼結によるフレームワークとハイブリッド型コンポジットレジンで作製された補綴物においてレジンの破折や剥離などの補綴的な合併症をさらに減らすことに貢献できることが示唆された。 また、ミリング法を想定したチタンのφ10 x 2.5 mmのディスク状試料を作製し、アルミナブラスティングまたはMDPをコーティングした改質材を用いてチタンの表面処理を行い、ハイブリッド型コンポジットレジンの初期の接着強さを検討した。その結果、アルミナブラスティングを行ったものよりもMDPモノマーをコーティングした改質材を用いてチタンの表面処理を行ったものの方が初期接着強さは高かった。しかしながら、他のモノマーの使用や接着耐久性も検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね研究計画に従って実験を行い、レーザー焼結によって製作されたCo-Cr合金試料に関しては、ビーズ様維持装置を付与と接着性モノマーを併用する方法で得られたデータから接着耐久性を高めることができ、十分に臨床で使用できることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
ミリング法を想定したチタンのディスク状試料を作製し、MDPモノマーのほかにもMEPSモノマーをコーティングした改質材を用いてチタンの表面処理を行い、ハイブリッド型コンポジットレジンを築盛する。接着した試験片を37℃の水中に24時間浸漬し、万能試験機オートグラフAGS-10kNG(島津製作所)で引張り荷重を加え、破断時の荷重を測定し,接着強さを求める。また、接着した試験片を熱サイクル試験機を使用して、4℃と60℃の水中に1分間ずつ浸漬する水中熱サイクル試験に供した後、同様に接着強さを求める。接着試験後、試料の破断面を観察し、破壊様式を評価する。そして、破壊の原因が前裝材の強度に起因するものなのか、オペーク材の強度に起因するものなのか、前裝材と金属の接着に起因するのか、破断の原因を検討する。得られたデータから臨床において十分な耐久性があるか検討を行い、新しい知見が得られた部分に関しては、コントロールとなるデータと比較し、学会発表や論文の作成を促進し、情報を発信する。
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次年度の研究費の使用計画 |
接着試験の被着体としての金属試料、その加工に必要な金属切断砥石とマイクロカットディスク、接着試験に伴う接着性モノマー、ハイブリッド型コンポジットレジン、蒸留水製造装置に必要なイオン交換カートリッジ、試料を研削する耐水研磨紙、研究成果発表のための旅費および英文校正の費用をあてる。
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