研究課題/領域番号 |
23592864
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
近藤 尚知 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70343150)
|
研究分担者 |
石崎 明 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20356439)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 遺伝子導入 / 骨 / 組織再生 |
研究概要 |
高齢者のクォリティ・オブ・ライフを著しく低下させる要因のひとつとして、歯の喪失による咀嚼障害、構音障害、審美障害が挙げられる。デンタルインプラントによる機能回復は治療効果も患者満足度も高いが、骨量の少ない場合にはインプラントの埋入が不可能で、必ずしも容易に適用できるわけではない。 本研究の目的は、遺伝子搭載ナノデバイスを用いることによって骨芽細胞を直接組織中に誘導し、抜歯後喪失されていく骨組織を維持すること、または失われた骨組織を再生することにある。上記の目的達成のために、培養骨芽細胞および未分化間葉系細胞を用い遺伝子導入法の検討を行っている。遺伝子導入の方法には各種あり、リポフェクタミンを用いる方法を基準として、各種方法を比較検討してきた。また、エレクトロポレーションによる方法とも比較検討した。導入に用いた遺伝子は、BMP-2、ポジティブコントロールとしてGFPを用いた。 GFPを導入した細胞においては、その蛍光が確認されており、また一方でBMP-2を導入した細胞においては、Osterix等の骨芽細胞表現型の発現が促進されている傾向があり、遺伝子が確実に導入されていると考えられる。更なる導入効率の検討のため、現存する遺伝子導入試薬の可能性を検索中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的達成のために、培養骨芽細胞および未分化間葉系細胞を用い遺伝子導入法の検討を行ってきたが、必ずしも決定的に優れた遺伝子導入の方法は明らかでない。リポフェクタミンを用いる方法を基準として、各種方法およびエレクトロポレーションによる方法を比較検討してきた。一方、細胞の種類によっても、導入効率が一定でないと考えられるため、各種方法を検討中である。現状、遺伝子搭載ナノデヴァイスを用いた実験、動物実験に移行する前の準備段階で多くの時間がかかっている。
|
今後の研究の推進方策 |
リポフェクタミンを用いる方法を基準として、遺伝子導入の各種方法の中から最適な方法を選択する予定である。一方、細胞の種類によっても、導入効率が一定でないと考えられるため、その点からも汎用性のある方法を検討予定である。遺伝子搭載ナノデヴァイスを用いた実験に移行し、培養細胞での確認を行う。その際には、骨髄細胞培養系についてもその導入効率を検索する。GFP搭載ナノデバイスはエンベロープ型のヴェクターを用い、その導入効率をReal Time RT-PCRによって、導入効率を解析する。Direct in vivo gene transferの実験で用いる遺伝子導入試薬についても、併用を試みて、試適濃度等の検討を行う。また、その局在については、蛍光顕微鏡下にて観察を行う。その後、動物実験に移行する予定である。 ラット頭蓋骨骨欠損モデルにおいて、骨欠損作成後GFP遺伝子搭載ナノデバイスを骨欠損部の骨膜下に注射して遺伝子導入をおこなう。GFPの蛍光を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察し、その導入効率と局在を解析する予定である。同様に、BMP-2,、VEGFの遺伝子搭載ナノデバイスを骨欠損部の骨膜下に注射して遺伝子導入をし、骨再生の状態を評価する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
最適な遺伝子導入方法の選択、各種培養細胞に対する導入効率の評価を行うための消耗品費が主な研究費の使用目的となる予定である。さらに、動物実験のための、動物飼育費と結果を評価するための試薬およびキットも必要となる。また、研究成果発表のための旅費等にも使用予定である。
|