研究課題/領域番号 |
23592868
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
原 聰 昭和大学, 歯学部, 講師 (50384334)
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研究分担者 |
佐藤 裕二 昭和大学, 歯学部, 教授 (70187251)
下平 修 昭和大学, 歯学部, 講師 (30235684)
七田 俊晴 昭和大学, 歯学部, 講師 (70307057)
内田 圭一郎 昭和大学, 歯学部, 助教 (30384332)
竹内 沙和子 昭和大学, 歯学部, 助教 (50585784)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 義歯支持粘膜 / ひずみゲージ / 粘膜の厚さ / 粘弾性 / 疼痛閾値 |
研究概要 |
良質な有床義歯補綴治療を提供するためには適正な術式の選択が必須であり,義歯支持組織の的確な診断を行うことが極めて重要である.しかし,粘膜組織の義歯支持能力は各個人,各部位により異なるため,有床義歯補綴治療の診断に際しては客観的分析が重要と考えられ多くの研究がなされてきた.現在,有床義歯補綴治療の診断基準である日本補綴歯科学会で推奨されている症型分類では,無歯顎の欠損部顎堤形態(高さ・断面形態)・粘膜性状(硬さ・厚み)について難易度判定を行っている. 無歯顎欠損部顎堤形態においては当教室の一連の研究で定量的評価が可能となった。赤坂らは複数の歯科医師によって100組の研究用模型を主観的評価と模型計測による客観的評価から基準値を決定し,補綴学会の症型分類の診断基準として採用されている.石原らにより顎堤の高さと断面形態の基準値から顎堤診断用スケールの開発を行った.一方,粘膜性状(硬さ・厚み)については当教室で一連の研究が進行中である。粘膜の「硬さ」と「厚さ」に関しては定量的評価法を確立し,その相互関係について明らかにしてきた.また,粘膜の粘弾性的性質を解析するため,超音波厚さ計にひずみゲージを応用し,義歯支持粘膜の厚さと測定荷重量を同時測定する手法を確立した. 一方で,義歯装着者にとって疼痛は最も重要な不快症状であり,有床義歯の機能や治療結果に直結する.そのため,この測定荷重量を臨床的な義歯支持粘膜の負担能力に大きく影響する疼痛閾値と関連付けることで,義歯支持粘膜の物理的性状と疼痛の関係を評価することは重要であると考えた.そこで,義歯支持粘膜の性状の客観的指標である厚さと弾性率および疼痛閾値との関連性を明らかにすることを目的とし,有歯顎者の口蓋粘膜について測定を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、平成23年度は竹内らが開発した厚さと荷重量を同時に測定する装置を応用し,被験者が疼痛を感じた時点での圧力を疼痛閾値として評価した.結果より,弾性率から疼痛閾値を推定することで,義歯支持粘膜の負担能力の術前評価で有効な指標となる可能性があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
顎提高さのデータから症例を抽出し,高さ(高い・中間・低い)の各クライテリアに対応した無歯顎患者60名(各20名ずつ)の粘膜性状の評価を行い,のデータの集計・蓄積をする.模型計測から顎堤面積を求め,顎提形態・粘膜性状を多変量解析を用いて総合的に評価し,義歯支持能力評価とする.
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次年度の研究費の使用計画 |
まず少人数の被験者のデータにてシステムの改良を行い,その後必要数の被験者のデータを集積し,無歯顎欠損部顎提形態と粘膜性状を総合的に評価する義歯支持能力総合評価システムの構築を行う.そのために平成24年度の研究費は,データ解析用ソフトおよび記録用メディアに使用する予定である.
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