研究課題/領域番号 |
23592872
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
後藤 真一 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (10105504)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | ジルコニア / CAD/CAM / コアの形態 / オールセラミッククラウン / 応力負荷試験 / チッピング |
研究概要 |
この研究の目的は、CAD/CAMシステムで作製したコアの形態の違いによるオールセラミッククラウンの基本的な強さを測定すること、クラウン全体の強さを向上させるため、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法を検討することにある。平成23年度は、臨床におけるジルコニア製コアの形態とチッピングによる破折および亀裂発生の原因究明と防止策を検討するため、次の様な実験を計画した。ニッシン歯列模型の下顎第二小臼歯を臨床経験が十分な歯科医師(実験協力者)が支台形成し、そのレプリカを歯科精密鋳造法に準じてコバルトクロム合金で作製し原型とした。ジルコニア製コアの形態を3種類(保持形態なし、歯冠までの舌側をサポートする形態、歯冠までの全周をサポートする形態)、コアの厚さ3種類(0.4mm、0.6mm、0.8mm)これらを組み合わせた条件9種のコアをCAD/CAMシステム(ジーシーGM-1000)により設計作製した。27個のジルコニア製コアにメーカー指示の方法により熟練技工士(実験協力者)が前装用セラミックスを焼成した。さらに比較検討するためジルコニア製のオールセラミッククラウンをCAD/CAMシステムで作製した。繰り返し数は3とした。合計30個のオールセラミッククラウンをコバルトクロム合金で作製した原型にレジンセメントで合着し、X軸およびY軸を任意に調整できるように設計した専用固定台に固定し、オートグラフを用いて全て同じ場所に先端半径1.0mmの球形圧子を押しつけ応力負荷試験を行った。(クロスヘッドスピードは、0.5mm/minとした。)チッピングによる破折および亀裂発生の原因究明と防止策を検討するため、測定値の統計解析および破壊面解析(クラフトグラフィー)用に破折片のSEM像を撮影中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究目的は、臨床におけるジルコニア製コアの形態とチッピングによる破折および亀裂発生の原因究明と防止策を検討することであった。研究目的を達成するため次の実験を計画し、実施した。臨床形態の支台模型(下顎第二小臼歯)のレプリカを歯科精密鋳造法に準じてコバルトクロム合金で作製し、CAD/CAMシステム(ジーシーGM-1000)により設計作製した27個のジルコニア製コア(コアの厚さ(3水準)形態(3水準)を変化させた9種のジルコニア製コアで繰り返し数を3とした27個)とCAD/CAMシステムで作製したジルコニア製のオールセラミッククラウン3個の合計30個のクラウンを作製して、応力負荷試験を行い、測定値を統計学的に処理し、コアの形態の違いによるオールセラミッククラウンの基本的な強さを評価した。さらに、チッピングによる破折および亀裂発生のメカニズムを明確にするため、破壊面解析(クラフトグラフィー)を行った。平成23年度は、大震災の影響で実験開始時期が遅れたが、実験協力者が快く手助けしてくれたので、研究は順調に進んで当初の目的をほぼ達成した。現在も実験協力者と対面会議、メール等で意見交換しながら、測定値の統計解析および破壊面解析(クラフトグラフィー)結果について検討を進めている。現在は、平成24年度の研究目的であるコアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法について予備実験を行いながら実験規模および方法を検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目的は、オールセラミッククラウン全体の強さを向上させる方法を検討することにある。平成23年度の研究成果は、平成24年10月13、14日に開催される日本歯科理工学会学術講演会において発表予定である。今年度の研究の目的は、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法を検討することにある。コア用セラミックス(ジルコニア)の完全焼結体および半焼結体の板を準備し、表面を鏡面状態まで研磨した後、以下の3種類の表面状態の試料を準備する。(コアの表面粗さ(3水準:サンドブラスト面、ダイヤモンドポイントによる研削面、無処理面))コアに3種類の前装用セラミックスを焼付け(CERABIEN ZR: NORITAKE DENTAL, VINTAGE ZR: SHOFU, INC, Cercon ceram kiss, Degudent GmbH)曲げ試験を行う。実験結果を統計解析し焼付強さを向上させる方法を検討する。コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さが有意に向上した条件で、前装用セラミックスの練和液(3水準:金コロイド, 銀コロイド, 蒸留水)を変えて、コア(ジルコニア)に前装用セラミックスを焼付け、曲げ試験を行う。実験結果を統計解析し焼付強さを向上させる方法を検討する。以上が今後の研究の推進方策の基本的な考えであるが、実験結果が想定外であった場合には、実験協力者と対面会議、メール等で意見交換しながら、研究の方向性を修正検討してゆく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度科学研究費基金助成金交付決定金額は、390,000円で、うち直接経費300,000円、間接経費90,000円であった。直接経費の使用計画は、物品費300,000円、旅費0円、人件費0円、その他0円と申請してあった。今年度の研究の目的は、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法を検討することにある。この研究目的を達成するため、前装用セラミックス・試料を鏡面まで研磨する研磨材・コアセラミックスの表面改質のための薬剤の購入に充てる予定である。
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