歯科技工実習課題の概略的評価と客観的評価についての研究

2011 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 23592877
• 研究機関: 日本歯科大学東京短期大学
• 研究代表者: 尾崎 順男 日本歯科大学東京短期大学, 歯科技工学科, 准教授 (10413139)
• 研究期間 (年度): 2011-04-28 – 2014-03-31
• キーワード: 歯科技工 / 歯科技工士養成 / 概略的評価 / 客観的評価

研究概要

歯科技工士養成における「歯科技工実習」は、知識と基本的技術を包括して行う実習である。しかし、これまで実習課題に対する評価は、歯科技工士学校養成所の教員の概略的な、いわゆる主観的評価で、その評価は客観性に乏しかった。そこで、本研究では客観的評価として非接触式三次元測定器による計測評価を実施し、ニューラルネットワークによる多変量解析を導入し、この客観的評価と概略的評価を模擬的実技試験で行い、評価の一致度について検討することを目的としている。　平成23年度は、歯科技工実習を想定した模擬的実技試験（全部鋳造冠の蝋型形成）を歯科技工士学校養成所の最終学年の１年前の学生105名（４年制大学は３年生、３年制専門学校は２年生、２年制短期大学と２年制専門学校は１年生）を対象として実施し、評価者７名（歯科技工士学校養成所教員）による概略的評価と非接触三次元形状測定装置を用いて三次元形状測定を行った。また、概略的評価と三次元計測された指定位置の座標データから計算される評価結果の相関に対する検討を行った。解析は、さまざまな情報とそれにより対応する回答とを繰り返し与えることにより入力と出力の間にネットワークを構築し、結果の予測に用いられるニューラルネットワークを解析手法として用いた。その結果以下の成果を得た。１、概略的評価における評価者間の相関は、0.52～0.74であった。２、多変量解析の結果、線形モデル解析では平均誤差0.50に対してニューラルネットワークによる非線形解析では平均誤差0.02となり、線形モデル解析では誤差が大きく、非線形解析であるニューラルネットワークでの解析結果の一致度が極めて高いことから、非線形のニューラルネットワークで評価することの有用性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は、歯科技工実習を想定した模擬的実技試験を歯科技工士学校養成所の最終学年の１年前の学生約100名を対象として実施し、評価者による概略的評価と非接触三次元形状測定装置を用いて三次元形状測定を行い、概略的評価と三次元計測された指定位置の座標データから計算される評価結果の相関に対する検討を行う計画であったが、予定通り実施できた。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、歯科技工実習を想定した模擬的実技試験を前年度に実施した学生を対象として実施し、前年度との比較を行う。平成25年度は、2年間のデータ分析と概略的（主観的）評価と客観的評価の相関、概略的評価の精度向上についてなどをとりまとめる。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度は、模擬的実技試験にかかる研究費と客観的評価の分析にかかる研究費が予定より安価となったため次年度使用額が生じている。この研究費は次年度以降の概略的評価と客観的評価の相関等の分析、精査に使用する予定である。　次年度は以下の研究費を使用予定である。１．模擬的実技試験の実施。２．概略的評価の実施。３．客観的評価のための三次元形状計測と概略的評価と客観的評価の結果についての相関性等について分析。