研究課題/領域番号 |
23592877
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研究機関 | 日本歯科大学東京短期大学 |
研究代表者 |
尾崎 順男 日本歯科大学東京短期大学, 歯科技工学科, 准教授 (10413139)
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キーワード | 歯科技工 / 歯科技工士養成 / 概略的評価 / 客観的評価 |
研究概要 |
歯科技工士養成における「歯科技工実習」は、知識と基本的技術を包括して行う実習である。しかし、これまで実習課題に対する評価は、教員の概略的な、いわゆる主観的評価で、その評価は客観性に乏しかった。そこで、本研究では、客観的評価として非接触式三次元測定器による計測評価を実施し、ニューラルネットワークによる多変量解析を導入し、この客観的評価と概略的評価を模擬的実技試験で行い、評価の一致度について検討することを目的としている。 平成24年度は、歯科技工実習を想定し、平成23年度に実施した模擬的実技試験(全部鋳造冠の蝋型形成)と同様の模擬的実技試験を実施した。受験対象者は、平成23年度に受験した学生105名(当時、最終学年の1年前)のうち、最終学年の学生102名である。評価は、評価者7名による概略的評価と非接触三次元形状測定装置を用いて三次元形状測定を行った。また、歯科技工士養成所教員歴5年以下の教員による概略的評価も実施した。概略的評価と三次元計測された指定位置の座標データから計算される評価結果の相関に対する検討を行った。解析は、さまざまな情報とそれにより対応する回答とを繰り返し与えることにより入力と出力の間にネットワークを構築し、結果の予測に用いられるニューラルネットワークを解析手法として用いた。その結果以下の成果を得た。 1、概略的評価における最終学年と最終学年1年前では、統計的に有意な差が認められた。 2、概略的評価における評価者間の相関は、0.56~0.82であった。 3、多変量解析の結果、線形モデル解析では平均誤差0.50に対してニューラルネットワークによる非線形解析では平均誤差0.00となり、線形モデル解析では誤差が大きく、非線形解析であるニューラルネットワークでの解析結果の一致度が極めて高いことから、非線形のニューラルネットワークで評価することの有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、歯科技工実習を想定した模擬的実技試験を歯科技工士学校養成所の最終学年の学生約100名を対象として実施し、評価者による概略的評価と非接触三次元形状測定装置を用いて三次元形状測定を行い、概略的評価と三次元計測された指定位置の座標データから計算される評価結果の相関に対する検討を行う計画であったが、予定通り実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成23年度と平成24年度に実施した、歯科技工実習を想定した模擬的実技試験のデータ分析と概略的(主観的)評価と客観的評価の相関、概略的評価の精度向上についてなどをとりまとめる。さらに、客観的評価を容易に行うために、機械的に採点可能な方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、模擬的実技試験に係る研究費と客観評価の分析にかかる研究費が予定より安価となったため次年度使用額が生じている。この研究費は、平成25年度の概略的評価と客観的評価の分析、精査に使用する予定である。平成25年度は以下の研究費を使用予定である。 1.概略的評価と客観的評価の相関の分析、精査を実施する。 2.客観評価を容易に利用する方法を検討する。 3.研究成果の発表を行う。
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