研究課題/領域番号 |
23592880
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
下西 充 東北大学, 大学病院, 助教 (40302153)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | セメント質 / マラッセの上皮遺残 |
研究概要 |
東北大学病院口腔外科外来で抜歯した第三大臼歯より歯根膜組織を採取し、無血清混合培地により同一組織片から上皮細胞および線維芽細胞を培養し、境界部の確認をした後、酵素により細胞を回収し、混ぜて、再度、上皮細胞および線維芽細胞をディッシュに播種する。この後、培養を継続すると、線維芽細胞の増殖能が高くなることが確認でき、上皮細胞は島状に分布した。これをサンプルとして用い、歯根膜由来上皮細胞のみ培養したものをコントロールとした。 エナメルマトリックスタンパクのアメロゲニンおよびアメロブラスチン、さらにそれらを破壊するエナメルマトリックスプロテアーゼのMMP-20およびKLK 4の発現を免疫染色法、遺伝子の発現をIn situ hybridization法および遺伝子の定量化を半定量的RT-PCR法にて検討を行った。 混培養したサンプルはアメロゲニン、アメロブラスチン、MMP-20およびKLK 4のタンパクの発現が弱かった。しかし、In situ hybridization法によるmRNAの発現はいずれも強く発現した。さらに、半定量的RT-PCR法では、いずれのmRNAもコントロールに比較して有意に発現が確認された。タンパクとmRNAの発現の違いはエナメルマトリックスタンパクが直ちにエナメルマトリックスプロテアーゼによって破壊されたことによるものと考えられる。また、エナメルマトリックスタンパクおよびエナメルマトリックスプロテアーゼのmRNAの誘導は上皮ー間葉相互作用によるものと考えられ、これらのmRNAの誘導がセメント質のリモデリングにどのように関与するのか、今後、さらに検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでのところ、上皮ー間葉相互作用によるエナメルマトリックスプロテインおよびプロテアーゼの誘導が確認され、方向性は示された。しかしながら、東日本大震災の影響から凍結保存していたサンプルおよび試薬の大半を失ったため、再度、サンプルおよび試薬の調整が必要になったため、やや遅れ気味になっている。
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災による影響から再度、サンプルの収集を行い、実験を再開した。やや遅れ気味ではあるが、基礎データは揃い、方向性が見えてきていることから、このまま研究を継続するとともに、あらたに、セメント質のリモデリングを考える上で、細胞分化と細胞死の関係に注目した。なかでもアポトーシス関連タンパクであるBcl-2ファミリーに絞って検討を行って行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
東日本大震災によってこれまでストックしていた冷凍保存の試薬が廃棄になったため、再度、新しい研究費で補って、主に試薬を中心に購入を行っていく。また、研究成果を世に問うために学会発表も積極的に行っていく。
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