東北大学病院口腔外科外来で抜歯した第三大臼歯より歯根膜組織を採取し、無血清混合培地にて同一組織片より上皮細胞および線維芽細胞を培養し、境界部を確認した後、酵素により細胞を回収し、上皮細胞および線維芽細胞を混ぜて、再度、ディッシュに細胞を播種する。この後、培養を継続すると、線維芽細胞の増殖能が高くなることが確認でき、上皮細胞は島状に分布した。これをサンプルとして用い、歯根膜由来上皮細胞のみ培養したものをコントロールとした。 前回、混培養したサンプルはエナメルマトリックスタンパクのアメロゲニン、アメロブラスチンおよびエナメルマトリックスプロテアーゼのMMP-20、KLK 4の誘導が確認でき、上皮―間葉相互作用により石灰化の誘導があることを報告した。 さらに、混培養したサンプルの上皮細胞はBrdUの取り込みが多く、細胞増殖能が高いにも関わらず、上皮細胞の増殖がみられないことから、アポトーシスの誘導が示唆された。このため、アポトーシスの誘導因子であるBaxと抑制因子であるBcl-2の発現を確認したところ、上皮細胞でBaxが強く発現することが確認され、アポトーシスが引き起こされcell turnoverが活発に行われていることがわかった。 cell turnoverが活発に行われると同時に石灰化の誘導も引き起こされることが確認されたことから、歯根完成後の有細胞セメント質の形成にマラッセの上皮遺残による関与が示唆された。
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