研究課題/領域番号 |
23592881
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小神 浩幸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10463978)
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研究分担者 |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
奥田 一博 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00169228)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 再生医学 / 細胞・組織 / 組織工学 / PRP / PRF |
研究概要 |
1) 血管新生・誘導の検討血管新生の促進作用を検証するために、PRFを圧延・トリミング後各実験に用いた。In vitroではヒト血管内皮細胞を用いたscratch assayを行い、PRFの増殖因子が内皮細胞の増殖・遊走を促進することが認められた。In vivoでは鶏胚漿尿膜を用いたCAM assayにより、PRF周囲への既存血管の誘導と新生血管の形成が認められ、血管数はコントロール群と比較して有意に多かった。また、漿尿膜の病理組織学的評価ではPRF設置により著しい細胞浸潤並びにコラーゲンの沈着が認められた。以上より、PRFには血管新生促進作用が認められた。2) 増殖因子・サイトカインの検出と定量抗体アレイにより、PRFには血清と比較し高濃度の増殖因子が存在することが認められた。さらに、PRFは部位によって血小板局在が異なることをSEMによって明らかにした。3) 細胞増殖に及ぼす影響の検討In vitroでPRF上に組織片培養を行ったヒト培養骨膜シートを移植し、増殖・分化について評価した。免疫組織化学的評価では、骨膜片とPRFの界面で非常に細胞密度が高く、さらに一部の細胞はPRF内に浸潤しており、それらの細胞はアルカリホスファターゼ活性陽性を呈した。一方、RT-PCRによる骨分化マーカー(ALP、COL1、Runx2、オステオポンチン、オステオカルシン)に上昇はみられなかった。加えてin vivoにおいてPRFが骨膜シートに与える影響について、予備実験を行った。ヌードマウス背部皮下に骨膜シートとPRFを同時に移植することで、コントロールと比較し、骨膜片周囲に顕著なコラーゲン沈着を認めた。さらに、頭蓋骨に形成した骨欠損部に移植することで、30日後の有意な新生骨の形成を認めた。以上より、PRFの増殖因子、あるいはそれ自体がスキャホールドとして組織再生を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PRF血管新生作用に関しては、その促進作用を確認し平成23年春季歯周病学会及びTissue Engineering and Regenerative Medicine International Society meeting 2011にて発表済み。細胞足場としての機能性評価に関しては現在実験を継続しており、本年度歯科保存学会において発表予定。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroでの培養細胞のPRF上移植に関して、骨分化マーカーの有意な変化は認められなかった。しかし一方、細胞の集積によるより局所的な分化誘導が起こっていると予測しており、免疫組織化学的手法をもちいて解析を行う。さらに、PRFが血管新生と骨再生を促進する作用について小動物をもちいた追加実験を行い、in vitroの実験結果と合わせて、その内容を平成24年度中に国際誌に論文投稿を行い発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
応募時の計画から変更はない。物品費に460,000円、旅費に300,000円、その他の費用に640,000円を使用する予定である。
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