研究課題/領域番号 |
23592881
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小神 浩幸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10463978)
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研究分担者 |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
奥田 一博 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00169228)
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キーワード | 再生医学 / 細胞・組織 / 組織工学 / PRP / PRF |
研究概要 |
1)血管新生・誘導の検討 血管新生の促進作用を検証するため、PRFを圧延・トリミング後各実験に用いた。in vitroではヒト血管内皮細胞を用いたscratch assayを行い、PRFの増殖因子が内皮細胞の増殖・遊走を促進することが認められた。in vivoでは鶏胚漿尿膜を用いたCAM assayにより、PRF周囲への既存血管の誘導と新生血管の形成が認められ、血管数はコントロール群と比較して有意に増加した。以上より、PRFには血管新生促進効果が認められる。 2)増殖因子・サイトカインの検出と定量 抗体アレイにより、PRFには血清と比較し高濃度の増殖因子が存在することが認められた。また、PRFは部位により血小板の局在が異なることをSEMによって明らかにした。 3)細胞増殖に及ぼす影響の検討 In vitroでPRF上にヒト培養骨膜シートを移植し、増殖・分化について評価した。免疫組織化学的評価では、骨膜片とPRFの界面で非常に細胞密度が高く、一部の細胞はPRF内に浸潤しており、それらの細胞はアルカリホスファターゼ活性陽性を呈した。一方、RT-PCRによる骨分化マーカー(ALP,COL1,RUNX2,オステオポンチン,オステオカルシン)に上昇はみとめられなかった。加えて、in vivoにおいてPRFが骨膜シートに与える影響について、ヌードマウス背部皮下に骨膜シートとPRFを同時に移植することで、コントロールと比較し、骨膜片周囲に顕著なコラーゲン沈着をみとめた。さらに、頭蓋骨に形成した骨欠損部に移植することで、30日後の有意な新生骨の形成をみとめた。また、局所的に破骨細胞マーカーであるTRAP活性が上昇しており、骨リモデリングの促進が予想された。以上より、PRFの増殖因子、そしてスキャホールドとしての機能が組織再生を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管新生に及ぼすPRFの作用に関しては、その促進作用を認め、平成24年第11回日本再生医療学会並びに2012 International Symposium of Materials on Regenerative Medicine、98th American Academy of Periodontology annual meetingにて発表を行った。 細胞足場としての機能性評価に関しては研究成果を第136回 春季日本歯科保存学会、第98回American Academy of Periodontology(AAP) Annual Meetingにて報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
PRFによる血管新生促進作用は確認されたため、その作用機序についてのパスウェイ解析を行う。動物実験において、PRFは局所的な増殖・分化を促進し、骨リモデリング活性を上昇させることが示唆された。PRFが細胞の集積・分化を誘導する作用に関して、DNAマイクロアレイによる網羅的解析により、関与する生物学的なパスウェイの検索を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
応募時の計画から変更はない。
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