研究課題/領域番号 |
23592886
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
白井 肇 岡山大学, 大学病院, 講師 (00263591)
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研究分担者 |
鳥井 康弘 岡山大学, 大学病院, 教授 (10188831)
皆木 省吾 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80190693)
河野 隆幸 岡山大学, 大学病院, 助教 (80284074)
鈴木 康司 岡山大学, 大学病院, 助教 (30304322)
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70304326)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インプラント / 界面 |
研究概要 |
近年,咬合崩壊した症例に対して,暫間インプラントによる早期の咬合回復を図ることが,重度歯周病に罹患した歯列の保存ならびに顎運動の異常習癖の改善に対して,有効であることが報告されてきている。これらのインプラントは,使用目的が暫間的であるためか,生体組織との界面観察についての報告は極めて少なく不明な点が多い。 暫間インプラント/生体組織間を透過電子顕微鏡下で観察するためには,界面にダメージを与えずかつ目的箇所を明確にした試料を作製する必要がある。そこで本研究では,ラットの頸骨にチタン合金製の暫間インプラントを埋入して得られた標本を,イオン研磨法で断面試料を作製し,電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)で観察した後,Focused Ion Beam法を用いて,目的箇所を薄膜加工し,透過電子顕微鏡(TEM)下で観察することによって,接合界面での様相を明らかとすることを目的とする。 14週齢のWistar系雄性ラット 7匹×2群を用い,1週間の馴化後,ペントバルビタールナトリウム(25.6mg/kg)腹腔内投与による全身麻酔下にて,ラットの右側脛骨に対して,1群(7匹)には,チタニウム合金製のインプラント(プロシード製デュアル・トップ オートスクリューII)を埋入,残る1群(7匹)には表面に特殊な表面処理を施した純チタン製の自家製インプラントを埋入する。インプラント埋入5週後,ペントバルビタールナトリウム(56.0mg/kg)腹腔内投与にて安楽死させ,脛骨を採取し,試料作製に供しした。 採取した試料を,固定,脱水,エポキシ樹脂包埋後,トリミングし,イオンスライサを用いて研磨,走査電子顕微鏡観察試料を作製した。その後,電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)下での試料観察を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
14週齢のWistar系雄性ラット 7匹×2群を用い,1週間の馴化後,ペントバルビタールナトリウム(25.6mg/kg)腹腔内投与による全身麻酔下にて,ラットの右側脛骨に対して,1群(7匹)には,チタニウム合金製のインプラント(プロシード製デュアル・トップ オートスクリューII)を埋入,残る1群(7匹)には表面に特殊な表面処理を施した純チタン製の自家製インプラントを埋入する。インプラント埋入5週後,ペントバルビタールナトリウム(56.0mg/kg)腹腔内投与にて安楽死させ,脛骨を採取し,試料作製に供しした。 採取した試料を,固定,脱水,エポキシ樹脂包埋後,トリミングし,イオンスライサを用いて研磨,走査電子顕微鏡観察試料を作製した。その後,電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)下での試料観察を行っている最中であり、当初の計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)下での試料観察の結果を基に,観察部位が特定したら,ダイシング・ソーにて30μm程度の膜厚に切断,FIB/TEM兼用ホルダに固定し,FIB装置にてガリウム・イオンビーム・プローブ(右図)により目的箇所を薄膜加工して透過電子顕微鏡観察試料を作製する。 高分解能観察には,透過電子顕微鏡(TEM)が有効であるが,我々の確立した試料作製法を用いても,本研究の様なインプラント・骨界面などのように界面剥離が生じやすい状態でのTEM試料作製の困難さに変わりはなく,コンスタントに試料作製が可能かどうかは不明である。計画通りに進まない場合は匹数の追加を検討するとともに,試料作製に困難を伴う場合はFE-SEMを用いて, TEM観察に近い倍率で高分解能観察が可能を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
インプラント合金と純チタンインプラントのインプラント/生体組織界面の違いを透過電子顕微鏡下で観察する。透過電子顕微鏡下で観察することが困難な場合は, FE-SEMを用いて, TEM観察に近い倍率で高分解能観察が可能を行う。 さらに,暫間インプラントとして使用されているチタン合金のインプラント/生体組織界面を電子顕微鏡下で観察。純チタンインプラントの場合と比較検討した結果をとりまとめ,成果の発表を行う。 チタン合金と純チタンとの間のナノレベルでの界面様相の違いを知ることは,新たな使用用途に応じたインプラント開発につながると考えられる。
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