研究課題/領域番号 |
23592889
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鈴木 裕美子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 特別研究員 (20432916)
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研究分担者 |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50195872)
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キーワード | 国際研究者交流 |
研究概要 |
炭酸アパタイトブロック上に骨芽細胞様細胞を播種し、一定期間培養する。骨芽細胞様細胞の初期接着性、細胞増殖(MTT分析法、トリプシントリートメントによる細胞カウント法)、細胞分化能(単位タンパクあたりのアルカリフォスファターゼ活性値、RT-PCR法によるType IコラーゲンおよびオステオカルシンのmRNA遺伝子の発現)について検討した。ラット脛骨より採取した骨髄細胞より破骨細胞を分離し、試料上に播種。一定期間培養後TRAP染色を行い、試料上の破骨細胞の分布を検討した。また、破骨細胞による吸収活性を試料表面に形成された吸収窩数および吸収窩総面積により定量化し、骨に近いことを確認した。 また循環培養を用いることで、創製した炭酸アパタイトブロック内部にまで骨芽細胞や血管内皮細胞を増殖させた。この状態は採取された直後の自家骨に類似、またはそれ以上に活性化されたものであり、移植後の生着速度は飛躍的に上昇すると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は 従来の骨補填剤はスペースメーキングとしての役割は果たせるものの生体内での非吸収性や生体親和性が大きな問題であった。本研究で提案する炭酸アパタイトブロックを用いたティッシュ・エンジニアリングは、周囲の骨にすぐに生着し、その後は新生骨と置換できる画期的な方法である。そのため歯科解剖・歯科理工学講座との協力に加え、農学部と連携、施設の共有を伴った研究を進めている。 現在の所その連携も十分であり、上記実績からある程度の達成は果たせていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で中心となるのは低結晶性炭酸アパタイトブロック創製とその内部における骨再生環境の付与である。すでに低結晶性ハイドロキシアパタイトではin vivoおよびin vitro実験で良好な結果を得ている。従って、骨組成に近い低結晶性炭酸アパタイトで骨補填剤を作製すれば、スペースメーキングから吸収と骨添加、すなわち骨置換へと変わる速度を大きく改善できるはずである。また三次元培養においては上皮培養で既に研究が進み、その技術は共同研究者が習得しているものである(Atsuta et al.2005)。そのため骨に関する三次元培養による再生環境の付与は可能と考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物の大腿骨(リモデリングが旺盛な部位)および頭蓋骨(リモデリングが旺盛でない部位)にマイクロモーターを用い、規格化した骨欠損を形成し、炭酸アパタイトブロックを埋入する。ブロックは循環培養したものとしていないものを比較する。埋入後、一定期間ごとにテトラサイクリン、カルセイン、キシレノールオレンジを実験動物に投与し、骨にラベリングを行う。2、4、8週後に試料を周囲組織と一塊に摘出し、アルカリフォスファターゼ活性、オステオカルシン産出量をタンパクレベルで評価するとともに、骨の形成をマイクロCTにより定量的に解析する。また、脱灰標本を作製し、病理組織学的に試料の組織親和性、骨置換速度を検討する。炭酸を含有しない低結晶性のハイドロキシアパタイトおよび焼結体アパタイトを対照群とする
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