研究課題/領域番号 |
23592891
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
西原 一秀 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30253892)
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研究分担者 |
中村 典史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60217875)
松山 孝司 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40253900)
田松 裕一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80266569)
新崎 章 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00175960)
牧志 祥子 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (60457679)
後藤 尊広 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (60578912)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 第二世代濃縮血小板 / 人工骨補填剤 / 骨造成手術 / 歯科用インプラント / 顎骨再建術 |
研究実績の概要 |
本年度は、これまでに骨成長因子CGFならびに骨補填剤を用いて骨造成術を行ってきた患者の経過を評価し、検討するとともに、骨造成術を継続して行い症例数の増加を図っている。 骨補填剤β-TCPの骨造成後約1年経過時の病理組織学的検討では、骨造成は行われたが、成熟した骨組織内にβ-TCPの残留が確認された。したがって、骨吸収性補填剤β-TCPは完全に吸収されずに骨内に残留することがわかった。残留したβ-TCPがインプラントのオッセオインテグレーションにどのように関与するかは、今後の検討課題となった。また、軟線X線による術後1年のレントゲン評価では自家骨移植群では骨移植部位は完全治癒して確認されなかったが、骨補填剤β-TCP単独群ではX線不透過像を認め、自家骨移植群より硬組織に置換されていることが示唆された。上顎洞底挙上術術後のCBCTによる三次元的骨形態評価では、自家骨単独移植群は術後約半年でインプラント周囲骨に約20%の骨吸収率を認めたが、自家骨+骨補填剤+骨成長因子群ではほとんど骨吸収を認めなかった。上顎洞低挙上術ではインプラント周囲の骨吸収の防止には骨補填剤+骨成長因子の併用が望ましいと考えられた。さらに、インプラントを同時埋入しなかった症例では30%の骨吸収を認め、インプラント同時埋入で骨吸収が少なったことから、インプラント同時埋入による骨のメカニカルストレス関与などが、骨吸収防止に有用であることが示唆された。骨欠損部への骨成長因子CGF単独症例では、骨欠損部の粘膜治癒や感染防止などに有用と思われたが、インプラント埋入を行うための骨造成は不十分な症例が散見された。 以上の結果、骨成長因子と効果的なscaffold、骨細胞の併用が十分な骨増生・骨再生を促すと考えれる。今後は、骨細胞として脂肪幹細胞の応用を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究期間で、骨成長因子ならびに骨補填剤を用いた骨造成術の検討を行っており、これまでの結果から最終評価を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、骨成長因子ならびに骨補填剤を用いて骨造成術を行った臨床症例の最終評価を行っている。その結果は、学会発表・論文公表を行う予定である。また、これらの結果をもとに、骨成長因子ならびに骨補填剤を用いた骨造成術を顎骨再建術に用いて患者に効果的なQOL向上を目指した治療法を開発する予定である。特に、脂肪幹細胞などの応用も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度4月に研究施設を異動したために研究対象数の増加ならびに研究環境体制が整わずに研究に遅れが生じた。現在、結果をまとめて学会発表、論文投稿を予定しているが、そのための経費や別刷り代などの費用の支出のために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の学会発表のための旅費ならびに英論文の校正、作成ならびに公表のための費用を計画している。
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