研究課題/領域番号 |
23592894
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
橋本 正則 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (00337164)
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研究分担者 |
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70168821)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | MMP / 銀 / バイオガラス / 細胞毒性 / 石灰化 / 象牙質 / レジン |
研究概要 |
銀系バイオガラスバルクを高温電気炉にて作製した。粉砕してガラス粒子を作製した。それら粒子を元素分析およびXRDにより調べた結果、標準的なアモルファス・バイオガラスを問題なく作製できることがわかった。3 wt%の酸化銀を含むガラスを標準実験材料とした。それらを各種試験溶液(SBF)に一定期間浸漬して、形成された石灰化物をSEMにて観察、ICPにより溶出イオン濃度の測定を行った。その結果、各種イオンの溶出、とくに銀イオンの溶出が確認された。また、SBF浸漬試料の表面に再石灰化物の形成を確認した。 ヒト象牙質粒を用いたMMP assayにより象牙質基質から放出されるMMP活性を抑制するガラス組成を模索した結果、3 wt%の標準ガラスにおいて有効にMMP活性を抑制することがわかった。さらにMMP-2およびMMP-9を使用して同様の実験を行った結果、銀系バイオガラスにより有効に両MMP活性は抑制された。さらに、ザイモグラフィー(電気泳動法)を用いて類似の実験を行った結果、やはりMMP活性は抑制された。 銀系バイオガラスはMMP活性を抑制する事実が2種類の実験系から判明したが、銀イオンの細胞毒性は臨床上問題になるため、各種細胞(RAW264.7, MC3T3-E1など)を用いた細胞毒性試験(MTT assay, LDH)、細胞の形態観察(SEM, TEM)、遺伝子発現(RT-qPCR)などについて調査を行っている これら、実験を総括し、最後に、石灰化物を形成するとともにMMP活性を有効に抑制する銀系バイオガラスの組成およびレジンモノマーを用いたコンポジット素材の調整などを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・標準的な銀系バイオガラス作製が可能であり、当初、予想していた機能を付与することができた。・試作したバイオガラスがMMP活性を抑制するこたを2種類の実験系から確認できた。・ガラスが有する細胞毒性の評価のための各種実験系を構築することができ、ガラスの組成を調節することにより細胞毒性を制御することが可能であることが判った。・新規材料の開発・臨床応用に一定のめどがついた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に行った実験結果についての総括を行う。石灰化物を形成するとともにMMP活性を有効に抑制する銀系バイオガラスの組成およびレジンモノマーの調整を行う。酸化銀の増量・再調整により銀イオン溶出を増加させる。 また、酸化リンの含有量を増加させることによりガラス粒子の溶解性を調整し銀イオンの溶出量を調整する。 さらにレジンマトリックスのモノマーを親水性化することにより銀イオンの溶出量を調整し、臨床応用可能な材料完成まで同様の上記実験を繰り返す。さらに他の歯科材料との性能比較などを行う予定である。 ガラスと細胞の相互作用、特に細胞毒性の関係について精査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の大部分を消耗品の購入に充てる予定である。バイオガラス作製のための白金るつぼ、細胞試験関連のピペット、シャーレ、フラスコ、培地(DMEN)、血清(FBS)、抗生剤、実験試薬(とくにPCR用試薬)、各種アッセイキット類(MMP, LDH, NOアッセイ)および電子顕微鏡用品(エポキシレジン、グリッド、ネガフィルム)などを購入する予定である。さらに、研究内容を総括し、学会発表のための旅費および論文掲載費などに使用する。
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