研究課題/領域番号 |
23592901
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
堀田 康弘 昭和大学, 歯学部, 講師 (00245804)
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研究分担者 |
中納 治久 昭和大学, 歯学部, 准教授 (80297035)
宮崎 隆 昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
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キーワード | 歯学 / 三次元計測 / CAD/CAM / 矯正 / 電子カルテ |
研究概要 |
2006年1月厚生労働省IT戦略本部で策定された「IT新改革戦略」により,レセプトオンライン化が平成23年度より義務化された.しかし,現在発売されている電子カルテシステムは,年々増加する各種診療情報のデジタル化に対し,十分な対応ができているとは言えない.特に,近年目覚ましい発展を遂げているCAD/CAMシステムにおけるデジタルデータに関しては,現在日本で利用されているカルテとは独立した全く別の書式がとられている.また,診療情報として術前や術後の模型情報が非常に重要であることが分かっていても,保管場所の確保が困難であることから,次々と捨てられてしまうのが現状である.そのため,こうしたCAD/CAMシステムにおける計測データを蓄積しておき,そのまま患者固有のデータとして電子カルテシステムに統合させることができれば,単に指示書としての役目だけではなく,治療経過の観察や治療計画立案の役に立つと考えられる.そこで本研究では,口腔内計測が可能な計測装置を開発してきた。さらにこれまでに開発してきたCAD/CAMシステムで取り込んだデータを汎用性のあるデータ形式に統合して,修復物製作のみでなく口腔内のすべての形態情報を統合できるシステムを目指した改良を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,現在歯科で扱われている様々なデジタル情報を,一元管理するためのインターフェースの統一を最終目標としている.その初年度として,口腔内から直接歯牙や歯肉の形状を収集することのできる計測システムの開発を行うとともに,これまでに開発してきた,全顎歯列計測器で計測されたデータをもとに,矯正臨床で日常的に行われているシミュレーション模型の製作工程を自動化するソフトウエアの開発を行ってきた.また,それに続く本年度は開発した口腔内計測器の計測精度の検証や三次元データの構築に関する検討を行い,平成24年4月14-15日に徳島県郷土文化会館で開催された第59回日本歯科理工学会学術講演会において「リアルタイム口腔内三次元座標測定装置の開発」と題した発表を行ってきた.しかし,単一の形状計測においては高精度なデータが得られるが,それを繋ぎ合わせて歯列全体を再構築する部分において,当初予定していた精度が得られていないことから,口腔内計測用カメラの再設計ならびに,三次元データ認識用ソフトウエアの改良を行ってきたため,当初の予定からやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように平成24年度の計画にやや遅れが生じたことから,早い時期に「リアルタイム口腔内三次元座標測定装置」を完成させるとともに,これまでに開発してきた他の全顎模型計測器と顔貌計測器のデータフォーマットの見直しを行い,既存の電子カルテシステムに導入しやすいオープンなフォーマットでの出力ならびに操作ができるようソフトウエアの改良を行う.また,矯正用シミュレーションソフトにおいて,現在収集されているデータ形式の変換ならびに,顔貌計測システムとの連携を図るために,口腔内形態の変化に伴う口腔周囲組織の変化をデータ化するうえでの基礎情報収集を行い,これまでカルテ上に記載されてきた情報が網羅できるかの検討を行っていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,前年度に開発試作した口腔内計測システムの見直しと調整に大部分の時間を要したため,次年度は本来のアプリケーションソフト開発に研究費の大部分が使われる予定である.このアプリケーションの部分において,各種データを取り扱うプラットフォームも,現代のITソリューションの傾向としてWindowsPCのみならず,Android やiOSなどのタブレット端末も視野に入れた開発が必要と考えられる.そのためには,今後も研究協力者と共に,既存の汎用アプリケーションとのすり合わせ等を行い,研究費での支出可能な範囲で検討していく予定である.
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