研究課題/領域番号 |
23592907
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
中村 好徳 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (70308782)
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研究分担者 |
田中 貴信 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60014271)
増田 達彦 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (30410583)
熊野 弘一 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (20469000)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 磁性アタッチメント / 有床義歯 / 国際規格 / ISO / 吸引力 |
研究概要 |
本研究の目的は,磁性アタッチメントは、日本で研究開発が推進され、今日、義歯の優れた維持装置として認められるようになり、世界に広まりつつある。この研究は、この磁性アタッチメントの耐食性、磁界の安全性、磁気回路、維持力、義歯および生体への固定法、歯科臨床などの最適化を強力に進め、世界の磁性アタッチメントとしての国際標準創成のための基礎データを得ることを目的としている。平成23年度における研究実績の概要は,磁性アタッチメントの維持力と強度の最適化、標準化のため、以下の基礎実験を行った。1.磁性アタッチメントの維持力測定法とその臨床評価については、磁性アタッチメントの維持力測定は荷重軸のずれや空隙で大幅に変化し、測定値は測定法にも依存する。まず維持力の測定法を標準化し、各種磁性アタッチメントの維持力を、磁石構造体とキーパーの角度や空隙を変えて測定し調査検討する。また臨床例を分類し、各臨床例に必要な磁性アタッチメントの維持力特性について明らかにした。 維持力の表記について、最大値、平均値、中間値のいずれの表記が維持力として最も適するかを実験で明らかにすることを目的とした。現行のCD で規定した測定法を満たす装置を用いて吸引力を測定し、他の装置と比較して精度良く再現性のある定量値を容易に測定できるかどうか検討した。同時に、吸引力に及ぼす因子が吸引力の劣化に作用することを示し、最大値が本来の維持力に最も近い値であり、ばらつきも少ないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汎用性の高い磁性アタッチメント(GIGAUSS C 600,GC 製)を実験に用い、現行のCD で規定した内容を満たすジグ(EZ-test tensile tester,島津製作所製)を用いた場合(Complete guide type)、円筒形のプラスチックでガイドを設けた場合(Simple guide type)、オーストラリアの提案したガイドなしの場合(Guide free type)の3 条件で維持力を求めた。それぞれ同じ条件で引っ張り試験機に装着してクロスヘッドスピード5mm/min で引っ張り荷重を加え、吸引力を測定(Scheffe’s test,α=0.05)し、維持力とした。試料数は5 個とし、各5 回の測定を行い、それらの有意差検定を行った。結果、ジグの相違によって吸引力は異なり、Complete guide type では543-570gf、Simple guide typeでは351-437gf、Guide free type では、337-424gf となった。吸引力の大きさは、Completeguide type が最も大きく、偏差は最少であった。全くガイドを用いない場合は、吸引力が最も小さく、偏差は大きかった。 磁石構造体とキーパーの中心を合わせ、垂直に応力を印加できるComplete guide type による測定値は、他の測定装置に比べて最も大きい値を示し、偏差が最も少なく、メーカー公称値に最も近い値であった。これより、現行のCD で規定した内容を満たすジグを用いた測定は、他の装置と比較して精度良く再現性のある定量値を容易に測定できることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
歯科用磁性アタッチメントのISO 化において、吸引力測定は必須項目であり、今年度の結果によれば、現行のCD で規定した内容を満たすジグが必要不可欠である。そのため、ISO 規格の提案国である日本が規格に合った汎用性の高い画一されたジグを所有し、そのジグの利用を海外に提案することは維持力測定法の標準化に大きく貢献すると考えられる。そこで、各国で容易に作製でき、低コストのジグを開発することを目的とする。 ジグの設計及び作製を行ない、その試作機を用いて我々が歯科用磁性アタッチメントの吸引力を測定し、その測定値を基に試作機の評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
磁性アタッチメントの吸引力測定ジグの作製代と消耗品の磁性アタッチメントを購入する予定である。 次年度の予算で、今年度パリで行われるISO/TC106パリ会議に参加し、現在進めている「歯科用磁性アタッチメントの国際規格化」についての会議に参加する予定である。
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