研究課題/領域番号 |
23592907
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
中村 好徳 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (70308782)
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研究分担者 |
田中 貴信 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60014271)
増田 達彦 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (30410583)
熊野 弘一 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (20469000)
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キーワード | 磁性アタッチメント / 有床義歯 / 国際規格 / ISO / 吸引力 |
研究概要 |
この研究は、磁性アタッチメントの耐食性、磁界の安全性、磁気回路、維持力、義歯および生体への固定法、歯科臨床などの最適化を強力に進め、世界の磁性アタッチメントとしての国際標準創成のための基礎データを得ることを目的としている。平成24年度における研究実績の概要は,磁性アタッチメントの耐蝕性と磁気回路の最適化、標準化のため、以下の基礎実験を行った。 1.磁性アタッチメントの耐食性と標準化:希土類金属磁石は耐食性がきわめて悪いことから、ヨーク用磁性ステンレス鋼や非磁性ステンレス鋼で覆い、レーザー溶接で密封する。この磁石構造体は義歯に、キーパーは歯根に固定される。従って、磁性アタッチメントの耐食性は磁性アタッチメントの外表面を構成する各ステンレス鋼の耐食性である.各ステンレス鋼について規格の調査を行った。 2.磁性アタッチメントの磁気回路の開発、設計:磁性アタッチメント磁気回路の最適化設計、形態や用途に合致した磁気回路の設計開発、より使いやすい磁性アタッチメントの開発を目指し、以下の研究を行った。 1).磁性アタッチメントの磁気回路の最適化設計、2).空隙の増加で吸引力の低下の少ない磁性アタッチメントの開発、3).磁性アタッチメントの磁気回路から見た最適化
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2008年のISO/TC106イエテボリ会議において、SC2/ WG22が正式に認められ、歯科用磁性アタッチメントの国際標準化が日本主導で始まった。4年の歳月をかけ、CD、DIS、FDISを経て、平成24年7月15日にISO 13017が国際標準規格として発行されるに至った。磁性アタッチメントの国際標準化の第一目標は達成いたしました。さらに、日本の優位性をさらに推し進めるため、平成24年度開催のISO/TC106パリ会議において詳細に規定した維持力測定法の規格案を提案し、小型で維持力の大きい国産の歯科用磁性アタッチメントの特徴を十分に規格に反映する事を目標としております。
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今後の研究の推進方策 |
国際規格案(ISO/DIS13017)の維持力測定法において、標準偏差が少なく正確な維持力測定を可能にする測定ジグおよび測定法の詳細を標準化する。我々と企業の連携により従来のISO測定システムに汎用性を与えるため,安価で容易に製作でき、 各国でのラウンドロビンテストにも対応でき得る、簡易型吸引力測定システムを開発し、平成24 年度のISO/TC106/SC2/WG22 会議に提案した。平成25 年度は、同標準化委員会及びSC2/WG22 の各メンバーでラウンドロビンテストを実施し、測定ジグ及び測定法の問題点および改良点を明確化する。SC2/WG22 の各エキスパートとの連絡を密にとり、事前にコンセンサスを得て平成25 年度のISO/TC106/SC2/WG22 会議においてISO 13017 の改正原案を策定する。 平成26 年度は、測定ジグおよび測定法の標準化を完成させ、平成26 年度のISO/TC106/SC2/WG22 会議で改正提案の合意を得る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
磁性アタッチメントの吸引力測定ジグの製作代と消耗品の磁性アタッチメントを購入する予定である。 また、研究費で、今年度9月にイタリアのトリノで行われる国際補綴学会において、磁性アタッチメントの国際標準化の規格作成のために行った基礎実験の研究成果の発表を行う予定である。 さらに、今年度、韓国で行われるISO/TC106韓国会議に参加し、現在進めている歯科用磁性アタッチメントの維持力測定法の規格案を提案する為に会議に参加する予定である。
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